Image: WebXray

真実を知るのは怖いけど、やってみましょうか。

オンライン上で過ごすすべての時間、私たちはずっと追跡されています。

Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)、Amazon(アマゾン)、そして他の何百ものウェブサイトが、検索ワード、マウスクリック、ウェブサイト訪問を記録しているのです。でも、ほとんどが合法に行なわれていて、違法なのは一部だけ。なので、企業が自分について収集しているデータの規模と違法性を解析するのは難しいことです。

そんな為す術もない私たちのために、元Googleエンジニアが新しいツール「WebXray」なるものを作ってくれました。

どんなことができる?

WebXrayは、ウェブサイトがあなたをどのように追跡しているかを具体的に見ることができる検索エンジン。一般のユーザーが検索したいテキスト文字を入力した後、どのウェブサイトがその特定の検索を追跡しているか、どのクッキーを使用しているか、そしてそのクッキーが何のためのものかを、WebXrayでは見ることができるんです。

例えば、女性が妊娠検査を受ける前や、伴侶やパートナーに妊娠の事実を伝える前に妊娠に関する情報を検索すると、その後ウェブサイトを見ていると端っこにベビーカーや粉ミルクの広告が表示されたりします。

WebXrayは、どのウェブサイトがその情報をGoogle AdSenseに提供したかを教えてくれます。オープンブラウザでアダルト動画を検索する人は、その履歴が広告主によって記録され、分類されているんです。そんなケースもWebXrayは、どのサイトが検索ワードを記録して、他に提供しているかを教えてくれます。

検索を知るならとGoogleに入社

この検索エンジンを発案したのは、ウェブ上のプライバシーに大きな懸念を持つ元GoogleエンジニアTim Liebert氏。WIREDのインタビューで、2010年代に大学院生としてクッキーと広告技術の研究をしていた際に、WebXrayのアイデアを思いついたとLiebert氏は語っています。

誰もがよりプライベートな環境でウェブを利用できるようにしたいと考え、内部からの方が簡単にそのアイデアを実現できるのではないかとGoogleに入社。しかし、その作戦、うまくいかなかったそうです。

米Gizmodoの取材にメールで答えてくれました。

「もはやショックを受けることさえもできなかったくらいでした。すべてを見てしまったからです。

おそらく最も説明が難しいのは、これがどれほど大規模なものか、データの量、追跡の量、何十億人もの人の生活の詳細が、遠く離れたサーバーの迷宮を通り抜けていくことです。まるでSF小説のようですが、全然いい方の意味ではありません!」

2年後、Liebert氏はGoogleを退社。WebXrayの開発に戻りました。ヨーロッパとアメリカの新しい法律により、Googleなどのウェブサイトが行なっているデータ追跡の多くが違法となりました。問題はすべての仕組みを理解するのは果てしなすぎるということでした。なので、Liebert氏の目標は、どの企業が何を追跡しているかを把握しやすくして、検察官や企業がよりよく情報を得られるようにすることでした。

知って行動できるようにするため

またLiebert氏はこうも語っています。

「重要なのは、オンラインのプライバシーを保護する法律がすでに存在するというのを理解することです。しかし、規制当局は力不足だったんです。アメリカでもヨーロッパでも。もっと政治家に何が障害になってうまくいっていないのか聞くべきだと思いますし、予算を増やすべきだと主張すべきです。

一般的な州の検事総長事務所には、法律を執行するために必要な資源が不足しています。そして政治家は万引きのような犯罪を対象とした『法の執行』には喜んで資金を与えますが、企業犯罪は無視されているんです」

WebXrayにとって、訴訟はビジネスプランの一部なんだそうです。Liebert氏はWIREDに「テクノロジー訴訟のヘンリー・フォードになりたいんです。WebXrayを工場の組立ラインのようにしたいんです」と語っています。誰でもこのツールを使って、自分の検索ワードがどのように使用されているかを見ることは可能ですが、さらに深く掘り下げることもできます。

無料版では1日25回の検索と、サイトで使用されているすべてのクッキーの簡単な概要にアクセスが可能。有料版を利用すると、私たちが日常的に経験しているプライバシー侵害について、より詳細で深い説明にアクセスすることも可能です。

これはプライバシーを侵害している企業に対して訴訟を起こそうとしている法律事務所や、法律に違反していると知らずにクッキーをすべて追跡しようとしているテクノロジー企業にとって完璧なツールかもしれません。ちなみにこのサイトのモットーは、「プライバシーは避けられない」だそうです。

「インターネットユーザーの大多数が拒否するビジネス慣行は、いつまでも続けられないと思います。私たちにはどんどん新しい法律ができてきて、それに比例してどんどん訴訟が起こってきます。

成功するものもあれば、そうでないものもあります。しかし、全体として私たちは正しい方向に向かっていると思います。私が会社を始めた理由は、これをより速く進められると思ったからです」

クッキーを一番設定しているのはGoogle?

2023年、Googleはより厳格なプライバシー法を遵守する必要があることを理由に、サードパーティークッキーを完全に廃止すると発表していましたが、先日Googleはこの計画を撤回しています。

「報道機関が見逃している大きな問題は、誰よりもGoogleがサードパーティークッキーを設定しているということです。私がこの検索エンジンを作った理由の1つは、自分の目でその事実を確認できるようにするためです。トップクッキーのページに行けば、Googleが他のどの企業よりもはるかに上にいることがわかります」

対するGoogleの広報担当者は、米Gizmodoの取材に対して、「ユーザーのプライバシーを尊重することが私たちの最優先事項であり、そうでないと主張するのは間違っています。私たちは強力なセキュリティとプライバシー保護を備えた製品を設計・構築しています。これにはデータの管理と削除を簡単に行なえるコントロールも含まれています。広告に関しては、Googleは皆さんが広告設定を確認・調整し、パーソナライズされた広告を完全にオプトアウトできるツールを構築した最初の企業です」と、Liebert氏の主張に反論しています。

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AIが人間に代わってがっつり検索。「SearchGPT」がくるらしいのですが