掲載:THE FIRST TIMES

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■アーティストはもちろん、リスナーも住人。そして、内見という名のライブ
様々なアーティストが入居する架空のアパートから同時代性に富んだ“六畳半ポップス”を生み出しているMAISONdesの2度目のワンマンライブ『MAISONdes LIVE #2』が、東京・TOKYO DOME CITY HALLにて、3月2日(土)と3日(日)の2日間に渡って開催された。

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ステージには「MAISONdes」という看板が掲げられた2階建てのアパートが設置されており、7つの部屋が見える作りとなっていた。開演時間になると、スクリーンに“管理人”が映し出され、スクリーンにファミコンのメッセージ画面のような文字で、観客に向けて「内見ですか?」と問いかけた。どんな部屋があるのか、住人たちの部屋と暮らしを見せてくれるという。そう、六畳半の部屋が立ち並ぶMAISONdesは、様々な住人が入居しており、アーティストはもちろん、リスナーも住人なのだ。そして、内見という名のライブは、管理人による「あなたのためのお部屋が見つかりますように」という言葉とともに始まった。

■2日目のトップバッターとMCを務めたのは、「333号室」の入居者であるシンガーソングライターのasmi

2日目のトップバッターを務めたのは、「333号室」の入居者であるシンガーソングライターのasmiだ。勢いよくドアを開けてステージに登場した彼女は、「MAISONdesに帰ってきたよ!」と元気いっぱいにあいさつし、「今日はみんなが主役やから、全員でお祭り騒ぎしていきましょう!」と呼びかけると、TVアニメ『うる星やつら』第2クールのオープニング主題歌「アイワナムチュー」では観客はいきなり総立ちになって、クラップを打ち鳴らした。続く、meiyoと空音による「Infinite」ではふたりのスムースなラップに手が上がり、シルエットでのパフォーマンスとなった缶缶の「もういいもん」は高く掲げた手を左右に振るワイパーで盛り上がり、冒頭からフロアの熱気は高まっていた。

お祭りの日もあれば、そうじゃない日だってある。MAISONdesというアパートのそれぞれの部屋と住人たちのそれぞれの物語と歌は、さらに多彩になっていく。はしメロが「けーたいみしてよ」で怒りや苛立ちをポップに表現すると、むトは「トラエノヒメ」を語るように歌い、あたしは「わかっちゃいない」でカーテン越しに“わかっちゃない”と繰り返したのちに、カーテンを開けてステージ前方まで歩み寄り、“消えてしまえばいい”というフレーズ同時に暗転し、見るものをハッとさせた。そして、水槽がラップのようなフロウからウィスパーボイスまで、多種多様な歌唱法を駆使しながら「ダブル・プッシュ・オフ」という難曲を見事に歌いきると、思わず場内から感嘆の声と拍手が湧き上がり、相沢の「湿っぽいね」では、部屋の中で物を投げつけているようなカップルのケンカが窓越しに漏れ聞こえてくるようなヒリヒリとしたリアルさを感じることができた。

シルエットによる歌唱が6曲続いた後で、ブルーのルームウェをア身に纏ったくじらが登場。「本当は夜の端まで」を歌いながら2階から1階へと移動すると、雨の音が耳に届き、コインランドリーへと移動。ここで、シンガーソングライターのさとうもかが加わり、「For ten minutes, for a hundred yen」をデュエット。フロアがメロウなムードに包まれる中で、街の雑踏の音とともに、4naともっさのふたりが「ダンボールの色」を歌い上げると、今度は切なくも温かい雰囲気へと変化。りりあ。による「夏風に溶ける」、れん「bathroom」と甘くて深みのあるR&Bに続いては、電話のベルが鳴り響き、「もしもし」という声に導かれるように2階と1階に分かれたPiiとmeiyoによる「ラリー、ラリー」が始まり、分かり合えない男女によるピンポンのような会話が繰り広げられた。

■3月22日にMAISONdesの1101号室へ入居する、ハローキティがシークレットゲストとして登場

そして、んと、シークレットゲストとして、今年50周年を迎えるハローキティが登場! 「このへんにアパートがあるって聞いたんだけど、ここかな?」と言いながらステージに上がったハローキティは、3月22日にMAISONdesの1101号室へ入居することを発表。作詞作曲を手がけるアーティストとして、「一緒に入居してる人のひとりはボカコレで優勝した原口沙輔さんです」と明かしたが、「一緒に歌ってくれる人のことはまだ内緒」とのこと。「皆さんとまた会えるのを楽しみにしてます。またねー。ふふふ」と微笑みながらステージを後にした。

■「辛いこともいっぱいあるけど、そんなときこそMAISONdesの音楽がみんなのことを救ってくれると信じてます」

「ラストスパート、行けますか?」という呼びかけとともにステージ上に姿を現したのは、バーチャルシンガーの花譜。武道館や代々木体育館でのワンマンライブも果たしている彼女が「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」でオーディエンスを巻き込んだライブの楽しさを体現すると、ハイトーンを繰り出したはしメロの「ロックオン」ではクラップのボリュームが一段と大きくなり、心地よい一体感を生み出した。

2日目のトリを務めたasmiは「楽しかったね。熱いね。今日、来てくれたひとり一人に特別な曲があると思う。みんなにそれを聴いてもらえたことが、私もうれしい気持ちです」と感想を述べると、「私にとって“ヨワネハキ”は人生を変えてくれた1曲です。初めての歌番組、初めての『THE FIRST TAKE』、いろんな初めてをくれた“ヨワネハキ”。“ヨワネハキ”がなかったら、今の歌えている人生もなかったんじゃないかなと思うくらい、私にとって特別な曲なんですね。ほんとに想像もしてなかったような遠いところまで一緒に冒険したから、そのおかげで掴めたでっかいでっかい夢もあります」と感謝を述べた。さらに、アーティストもリスナーも同じ人間、同じ住人であることを強調し、「辛いこともいっぱいあるけど、そんなときこそMAISONdesの音楽がみんなのことを救ってくれると信じてます。みんなの明日からが少しでも強くなれるように。みんなと同じ人間が歌います」と語り、2021年に「最もSNSで使われた曲」として大ヒットした「ヨワネハキ」を歌唱。大きな手拍子が鳴り響く中で、“そういやさ”のコール&レスポンスも実現。asmiは「幸せ!」と叫び、「いろいろあると思いますが、明日からも一緒に生きていこう」と未来の約束を口にし、総勢18人の入居者が大集結したライブは幕を閉じた。MCはasmiのみで、全17曲で約1時間。ほぼノンストップで次から次へと入居者が楽曲を披露していく展開の早さで、まるでMAISONdesのプレイリストを生で見ているかのようなワクワク感のあるライブだった。

TEXT BY 永堀アツオ
PHOTO BY Kato Shumpei
(c)’24 SANRIO 著作(株)サンリオ

MAISONdes LIVE #2
2024年3月3日 TOKYO DOME CITY HALL
セットリスト
1.アイワナムチュー feat. asmi, すりぃ
2.infinite feat. meiyo, 空音
3.もういいもん feat. 缶缶, 〓ハイノミ(〓はコマンド記号が正式表記)
4.けーたいみしてよ feat. はしメロ, maeshima soshi
5.トラエノヒメ feat. むト, Sohbana
6.わかっちゃない feat. あたし, zumiTa
7.ダブル・プッシュ・オフ。 feat.水槽, A4。
8.湿っぽいね feat. 相沢, 式浦躁吾
9.本当は夜の端まで、 feat. おおお, くじら
10.For ten minutes, for a hundred yen feat. さとうもか,くじら
11.ダンボールの色 feat. 4na, もっさ
12.夏風に溶ける feat. りりあ。, 南雲ゆうき
13.bathroom feat. れん, maeshima soshi
14.ラリー、ラリー feat. Pii, meiyo
キティーコーナー
15.トウキョウ・シャンディ・ランデヴ feat. 花譜, ツミキ
16.ロックオン feat. はしメロ, 巡巡
17.ヨワネハキ feat. 和ぬか, asmi
(*3月2日のみ、堂村璃羽が出演)