掲載:THE FIRST TIMES

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■趣向を凝らしたたっぷりのサービス精神
12月24日、Tani Yuukiが全国ホールツアー「kotodama」のファイナル公演を東京ドームシティホールで開催した。

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クリスマスイブという“特別な夜”に彼が見せてくれたのは、趣向を凝らし、サービス精神もたっぷりの、スペシャルなステージだった。そして何よりTani Yuukiという人の気取らない率直な魅力が随所で伝わってくるようなライブだった。

オープニング映像を経て、ライブは「おかえり」からスタート。華やかな装飾が施されたステージに登場したTani Yuukiを大歓声が迎え入れると、まずはアコースティック・ギターと共に伸びやかな歌声を響かせる。

「今日はあなたに出会えてうれしいです!」と告げ、続く「燦々たるや」「生きる偉人たちよ」を朗々と歌い上げると、チルなEDMテイストの「Night Butterfly」ではお立ち台に立って両手を大きく振る。

■まるで恋愛映画のような映像演出

背景のビジョンを用いた、まるで恋愛映画のような映像演出にも目を見張った。MCでは「Tani Yuukiと言えば、ラブソング。僕が今まで送り出したラブソングを一つの物語にしてお届けしようと思います」と語っていたのだが、その言葉通り、曲と曲の間で男女二人の恋愛の情景を切り取ったような実写のドラマ映像が展開される。

運命の相手との出会いを描いた「最終想者」に続けては、幸せな恋人同士の関係を歌う「愛言葉」、アコースティック・ギターを抱えて力強く歌い上げた「Dear Drops」を披露。さらにセンチメンタルなメロディに乗せて離れていく心を歌う「非lie心」から、切ない別れを描いた失恋ソング「Myra」を続ける。楽曲の数々から「かつては思い合っていたけれど、すれ違い、別れてしまった」恋人同士のラブストーリーを紡ぎ出していた。

“350mlの缶ビール”をモチーフにしたリズミカルな「Cheers」を挟んで、後半は、ピアノに乗せて熱のこもった歌声を響かせた「記憶」、そしてモノローグの映像を挟んで「Unreachable love song」と、「離れてしまった相手を思い続ける」曲を歌う。

こうした物語性を感じさせるステージを展開しつつ「まだまだ盛り上がっていきましょう!上の方も見えてるよ!」とエンターテイナー精神を欠かさないのもTani Yuukiらしいショーマンシップだ。

そしてこの日最大の盛り上がりとなったのは、疾走感あふれるロックチューン「夢喰」だった。「回せ、回せ!」という呼び掛けに応じてオーディエンスがタオルを高らかに掲げ、サビでグルグルと振り回す。さらに「Life is beautiful」ではオーディエンス全員がジャンプ。熱量たっぷりの空間となっていた。

■「あなたがいつでも帰ってこられる場所であり続ける」というファンへの思い

終盤のMCで「なぜ走り続けていくのかということをよく考えたりします」とTani Yuukiは語った。曲を作り始めた頃は誰かに聴いてほしい、届いてほしい、認めてほしいという思いが“乾き”になって、それが燃料になっていたという彼。しかし夢が叶った今、その乾きは潤ってきた。そこからなぜ走り続けるのかを考えて、思い至ったのが「あなたがいつでも帰ってこられる場所であり続ける」――という思いだったのだという。

そして「この曲はもう僕だけの曲じゃなくて、あなたの曲です。一緒に歌いましょう」と告げて、「W/X/Y」を披露。曲の後半では「歌って!」とオーディエンスに呼びかけ、大合唱が湧き上がっていた。

本編ラストは「最後の魔法」。“もう思い出せないんだ”という歌詞が印象的な、少しずつ薄れていく恋愛の記憶を歌ったロッカバラードだ。ドラマティックな映像も含め感動的な余韻を残した。

■バズーカでタオルを飛ばし、ステージを降りてハイタッチをしてまわる

アンコールを求める大きな拍手に応えて再びステージに登場したTani Yuukiは、サンタ帽をかぶり「ジングルベル」に乗せて会場のお客さんにバズーカでタオルを飛ばしたり、ステージを降りてハイタッチをして回ったりと、クリスマスプレゼントを大盤振る舞い。さらには「もう一個だけプレゼント」と、新曲の「kotodama」を力強く歌った。リズミカルなサウンドに耳を掴むメロディを持つ、とてもTani Yuukiらしいキャッチーな曲だ。

さらに「百鬼夜行」「運命」と続け、アップテンポでカラフルな「ワンダーランド」を披露。バンドメンバーたちと肩を組んで深々と挨拶し、写真撮影をして、すべて終わりかと思いきや「もう1曲やってもいいですか? 出し切ろう! 今日はファイナルだ!」と叫んでラストに「We are free」を歌い、高揚感で会場を一つにしてライブを締めくくった。

「今日も幸せだ!」と高らかに叫んでTani Yuukiはステージを降りた。もりだくさんのパフォーマンスに、同じく幸せな気持ちで帰途に着いたお客さんも多かったのではないだろうか。

TEXT BY 柴那典
PHOTO BY toya

Tani Yuuki Hall Tour 2023「kotodama」
2023年12月24日(日) TOKYO DOME CITY HALL
セットリスト
1.おかえり
2.燦々たるや
3.生きる偉人たちよ
4.Night Butterfly
5.最終想者
6.愛言葉
7.Dear Drops
8.非lie心
9.Myra
10.Cheers
11.記憶
12.Unreachable love song
13.夢喰
14.Life is beautiful
15.W/X/Y
16.最後の魔法
EN1.Kotodama
EN2.百鬼夜行
EN3.運命
EN4.ワンダーランド
EN5.We are free

リリース情報
2024年5月リリース
EP『HOMETOWN』
※詳細は後日発表

ライブ情報
Tani Yuuki Hall Tour 2024 "HOMETOWN"
<2024年>
6月1日(土) 東京・LINE CUBE SHIBUYA
6月7日(金) 宮城・仙台サンプラザホール
6月9日(日) 福島・けんしん郡山文化センター(郡山市民文化センター)
6月14日(金) 福岡・福岡サンパレス
6月16日(日) 熊本・市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
6月21日(金) 埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール
6月30日(日) 京都・ロームシアター京都
7月11日(木) 広島・広島上野学園ホール
7月13日(土) 大阪・フェスティバルホール
7月15日(祝月) 石川・本多の森 北電ホール
7月20日(土) 愛知・名古屋国際会議場 センチュリーホール
7月28日(日) 北海道・札幌文化芸術劇場hitaru
8月4日(日) 香川・サンポートホール高松 大ホール
8月31日(土) 沖縄・沖縄コンベンションセンター劇場棟
9月23日(祝月) 神奈川・パシフィコ横浜国立大ホール