アラフィフの結婚は、若いうちの結婚とは異なります(写真:USSIE/PIXTA)

「結婚するなら子どもが欲しい」――それは当然の願望ですが、中年婚活では子どもは諦めましょう。アラフィフが対象とすべき同年代女性に高齢出産を強いることはできません。中年婚活を成功させるには、無謀な高望みをしないことが大切です。連載「貧困に喘ぐ女性の現実」の筆者、中村淳彦さんの最新刊『中年婚活 50歳、年収450万円からの結婚に必要な30の法則』より、本文を一部引用・再編集してご紹介します。

20代女性を狙うおじさんたち

前回記事「結婚相談所『おじさんが若い女子を狙う』大問題」では若い女性を狙うのは断念するよう説明しました。

しかし、婚活の現場では「結婚するなら20代!」というアラフィフ男性たちがどうしても膨大に存在して、どれだけ説得しても、全員が諦めてくれることはないでしょう。

20代を狙うアラフィフ婚活男性たちの存在は、求愛されて迷惑する20代女性の当事者だけでなく、結婚相談所の悩みの種で、YouTubeには勘違いする中年男性に対しての嘆きや無理だ、不可能だと説得するコンテンツがたくさんあります。

20代を狙うアラフィフ男性は、女性をアクセサリー感覚で見ている、ロリコン、成長していない未成熟、自分はまだまだ若いという勘違いなどなど、様々な理由が存在します。そのなかでもっともらしい理由が「子どもが欲しいから若い女性と結婚したい!」ということです。いまさら、なにを言っているのでしょうか──筆者はため息がもれました。

たとえば、年収500万円のアナタが50歳でまだ子どもが欲しいと願っていたとしましょう。子どもを諦めないのは、まだ生きている70代後半の母親が「死ぬまでに孫の顔が見たい」と懇願していることが理由だとします。

結婚も出産も、相手があってのことです。

どんなに子どもが欲しくて若い女性を狙っても、アナタの婚活の対象となるのは、「年齢差=年収×100万分の1の法則」で50歳‐5歳(500万円)なので45歳が限度となります。女性の45歳となると、卵子が老化して妊娠しづらく、不妊治療の保険治療も対象外となっています。幸運に妊娠したとしても流産の可能性が高まり、45歳の女性が出産するのは命がけの厳しい現実があります。

ここで、そもそもを振り返ってみましょう。子どもを諦めないと主張するアナタと、孫の顔が見たい母親は、いったい息子が50歳になるまで、なにをしていたのでしょうか。まず、アナタが結婚しなかったのは経済的理由とか、束縛されたくないとか、ひとりで自由で気楽でいたかったとか、そんな理由でしょう。そうやってモラトリアムを選択し、膨大な無駄な時間を過ごしたアナタが、いまさら子どもが欲しいなんて騒いでも遅すぎるのです。

残りの人生を幸せに穏やかに過ごすために

アナタは子どもが欲しいなら、20代〜30代前半の結婚適齢期に、必死に相手を探して頑張って生きるべきでした。ひとりのほうが気楽とやるべきことを先送りして、モラトリアムを存分に満喫し、25年も経ってから子どもが欲しいと言いだすのは、あまりに都合がいいのです。

残念ながら子どもは諦めましょう。

アラフィフは核家族第一世代なので、一人っ子で家系が途絶えるみたいなこともあるかもしれません。もう、それは仕方のないことです。子どもには縁がなかったと割り切りましょう。25年間もやるべきことを放置して、取り返しのつかない50歳になってしまったのはアナタとアナタの両親の自己責任です。やるべきことを放置した、アナタ方が悪いのです。

なので、アナタの母親が「死ぬまでに孫の顔が見たい!」と言っているのであれば、強い口調で「諦めろ!」と一喝してください。そして、子どもを諦める取り返しのつかない結果に対して、アナタは自分を責めるべきではありません。

婚活によって同年代のパートナーを見つけて、早死にや孤独死を回避し、残りの人生を幸せに穏やかに過ごせばいいのです。

もう一つ、母親に「孫の顔が見たい!」と懇願されて、アラフィフになって結婚を意識したアナタはマザコンの可能性があります。マザコンとは母親への依存心が強い人のことをいいます。アラフィフになって、まだ精神的に自立ができていなく、心は子どものままで、なんでも母親に相談したりして母親の意見に左右されていないですか。

アナタがもしマザコンだったら、婚活を機会にマザコンは卒業してください。

理由は母親に依存して自立していない男性はモテないし、他人から見ると気持ち悪いからです。女性から結婚相手に選ばれることもないでしょう。アナタにとって母親は大切な人であっても、他人である女性はアナタの母親のことには興味がありません。仮に結婚をしても、義理の母親とはかかわりたくないというのが女性たちの普通の感覚です。

アラフィフの結婚に親の承諾は必要ない

アナタが結婚相手に自分の大切な母親を、夫である自分と同じように大切に思ってくれる人みたいな条件をつけていれば、すぐに取り下げてください。親を大切にすることは世間体がいいので、表面上はアナタの希望に賛同するような反応をするかもしれません。しかし、女性たちはマザコン男性のことは嫌いなので、マザコンを疑われたら、すぐに切られます。マザコンはモテない、他人である女性はアナタの母親のことは一切の興味がない、その現実は理解しておきましょう。


結婚は本人同士ではなく、家族と家族がつながることといわれます。しかし、子どもが望めないアラフィフの結婚に、家族同士のつながりは必要ありません。これまで自立して生きてきたアラフィフの未婚女性は、家族のつながりみたいなことが鬱陶しくて結婚を避けてきた人も多く、アナタのマザコン的な意識や過剰な母親へのこだわりは、婚活ではマイナスにしかなりません。

親を大切にしている、家族を大切にしている、母親と仲がいいなどなど、マザコンが疑われる言動はすぐにやめましょう。そして、母親ともっと距離を取りましょう。結婚することは、新しい世帯をつくっていくことです。精神的にもっと自立する必要があるのです。

アラフィフの結婚には親の承諾も必要ありません。母親に相談することなく、相手は自分自身だけで決めて、入籍後に結婚報告する程度で十分です。

(中村 淳彦 : ノンフィクションライター)