稀代のヒットメーカーであるつんく♂氏が語る、集団の中で埋もれない極意とは(写真:8x10/PIXTA)

シャ乱Qとして「シングルベッド」「ズルい女」などのミリオンセラーを連発、「モーニング娘。」のプロデューサーとしても「LOVEマシーン」176万枚以上のセールスを記録し、「歴代作曲家シングル総売上ランキング」(オリコン調べ)でも歴代5位にランクインしているつんく♂氏。

「ハロー!プロジェクト」をはじめ数々のヒットやプロデュースの成功から「天才」と評されることもあるつんく♂氏だが、「僕は『天才』ではなく『凡人』。でも、『凡人』だからこそ『天才』を凌駕できる、そこに『人生の突破口』がある」という。

つんく♂氏が3年かけて「自分の中に眠れる才能を見つけ、劇的に伸ばす方法」をまとめた新刊『凡人が天才に勝つ方法』が発売され、3刷を突破するなど反響を呼んでいる。

国民的エンターテインメントプロデューサーとして幅広く活躍中のつんく♂氏が「普通の人が『凡人集団』から抜け出すたった2つの簡単秘訣」について解説する。

どんな人でも「凡人集団」から「ごぼう抜き」できる


僕は今までたくさんの作品を生み出し、JASRAC(日本音楽著作権協会)に登録された僕の楽曲数は2000曲を超えていて「つんく♂は天才」などと言われることもありますが、僕は多くのみなさんと同じ「凡人」です。

決して「天才」とは思っていません

僕も、「凡人」だからこそ、さまざまな努力を積み重ねて大きな成功へとつなげることができました。

多くの人が「凡人」ですが、努力をすれば「凡人集団の先頭」に立つことができるのです。

では、どうすれば「凡人集団の先頭」に立つことができるのか。

ここでは、「凡人集団」からごぼう抜きできる秘訣を2つ紹介します。

「凡人集団」からごぼう抜きできる秘訣のひとつ、それは「とにかく数をこなすこと」です。

「数」をこなすことで「コツ」もつかみやすくなる

【1】「当たって砕ける精神」で、とにかく「数」をこなす

たとえば、確率が1%の場合、10本打ったのではヒットは望めませんが、1000本打てば10本は当たる計算になります。でも、多くの人は10本、20本であきらめてしまうのです。

なぜ「数をこなす」のが大切なのか。それは「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」からです。

そして、「その下手な鉄砲も、そのうち(数をこなしているうちに)うまくなる」という点も大切です。

確率がたった1%でも、ヒットが出れば「なぜ今回は打てたのか」が「経験値」として残ります。自分なりに経験値を分析して、少しずつ行動を変えていけば、どんどん打率は上がっていきます。

試行回数が増えるほど、1%が2%、2%が5%……と平均レベルが高くなるわけです。さらにヒットを打つコツもつかんで、自信もついていきます

これは音楽に限りません。たとえば、SNSで自分のコメントや動画をバズらせたかったら、とにかく何度も何度も試してみるのです。

数をこなしていくと、「あれ? これ前にもやったかも」って思ってしまうこともあるかもしれません。でも、そんなときは「似ているようでも違うこと」がほとんどです。僕はこれまで2000曲以上つくってきましたが、4小節と丸かぶりしたことは10曲もないと思います。

また、インプットと同様にアウトプットも、とにかく「数をこなす」ことです。

僕は「世に出したい」と思うメロディは、ずっと頭の中に残っています。でも、それをリリースすると、不思議と頭から消えていきます。だから、どんどんインプットするのと同様に、アウトプットすることも大事だと思っています。

2つめは、「『自分の好きをデータ化』し、『好き』の要素・要因を徹底的に分析して自分らしさを磨くこと」です。

【2】「好きのデータ化」で、自分らしさを磨く

「自分が気になったもの」「好きになったもの」「興味をもったもの」などの瞬間を覚えておきます。そして、「なぜ好きなのか」「なぜ好きになったのか」をしっかりと考察してみるのです。

革新的なアイデアや創作は「人真似」ではなく、「あなたらしさ」を加える「オリジナリティ」が大事です。仕事の企画、提案、クリエイティビティなどに、あなたの「好き」を活かすことが大切なのです。そのために、「好きのデータ化」は重要です。

また、「好き」をデータ化するとき、みなさんに思い出してほしいのが 「中学2年生のころの感覚」です。

中1は、小学生の延長線。中3になれば受験がある。子どもから大人として羽ばたいていく、ちょうど中間点が「中2」です。子どもだけど、幼いころより知識もついて、さまざまな選択肢が出てきます

「中2には、無制限の青春感、自由と夢がある」というのが、僕の基本理念のひとつとしていて、2020年から「中2」をテーマにした映画製作のプロジェクトを始動しています。なぜなら、中2のパワーを信じているからです。

みなさんも、ぜひ「中2のころ、自分が好きだったもの」を思い出してみてください。みなさん自身の「原点」が見つかるかもしれません

人と異なる角度からいけば「凡人集団の先頭」に立てる

たとえば、1億人いれば「本物の天才」はきっと10人くらい。「天才」に近い「突き抜けた才能をもつ人」が100人くらい。「なんだかすごい人」が1000人いたとして、残りの9999万8890人は「ただの凡人」です。

「ただの凡人」は「どんぐりの背比べ」です。

だからこそ、ほんのちょっと人と違う角度からものを考えて継続することで、「ごぼう抜き」ができ「凡人集団の先頭」に立つことができます

ぜひ、「凡人集団の先頭」に立てるテクニックを身につけて、「天才を凌駕する存在」を目指してください。

(つんく♂ : 総合エンターテインメントプロデューサー)