鳥貴族が運営「トリキバーガー」

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白いバンズが目を引くトリキバーガーのモーニング。おしゃれでありながら、かなりの実力派バーガーでした(筆者撮影)

喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。

そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第51回となる今回、訪れたのは「TORIKI BURGER(トリキバーガー)」です。

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飲食チェーンがひそかにしのぎを削っているジャンル、それが「モーニング」です。朝の数時間だけ提供される限定メニューは、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。

そのなかでもとくに、朝限定メニューを積極的に展開しているのが、ハンバーガーチェーンです。ハンバーガーチェーンの多くが朝限定メニューを提供し、マクドナルドの朝食メニュー「朝マック」に至っては固有名詞としてもすでに定着しています。

鳥貴族のハンバーガーチェーン「トリキバーガー」

今回ご紹介するモーニングは「TORIKI BURGER(トリキバーガー)」です。人気居酒屋チェーン「鳥貴族」が手がけるハンバーガーチェーンとして、2021年に新業態としてスタートしました。

現在ある3店舗のうち、2号店である渋谷井の頭通り店が、なんと2023年11月20日をもって閉店。味がイマイチだったからそうなったのか……と思いきや、行ってみると予想を大きく裏切られることに。

国産チキンバーガー専門店、バンズは白パンを使用するなど、他社とは一線を画す差別化されたメニューと、朝メニューならではのお得な価格設定が魅力的なモーニングを堪能してきました。

「トリキバーガー」のモーニングセットの提供時間は午前7時から10時30分まで。

取り扱いメニューはバーガーが5種類(ロールを含む)で、価格は全て同じ価格に設定されており、税込300円で販売しています。

バーガーセットは400円から販売


現在バーガーは5種類。お得なセットを組み合わせれば、食べたいボリュームに合わせてオーダーできる(筆者撮影)

・たまごロール
・あんバターロール
・ベーコンエッグ
・サラダチキン〜バジル〜
・とりコロッケバーガー

サラダチキンバーガーは朝メニュー終了後も販売を継続していますが、価格は税込400円と100円アップするので、朝に購入すると単品でもすでにお得なのですが、セットメニューはさらにお得度がアップします。

ニョッキボールもしくはドリンクSサイズ(どちらも単品価格税込200円)を組み合わせた「トリキコンビ」を、単品価格プラス100円の税込400円で販売。単純計算すると単品購入よりも100円安い計算になります。

ニョッキボールとドリンクMサイズ(単品価格税込250円)を組み合わせた「トリキセット」を、単品価格プラス200円の税込500円で販売。こちらはさらにお得で250円安い計算です。

単品価格プラス350円の税込650円で、トリキプリンもしくはエッグタルト(単品価格税込200円)が追加できる「トリキデザートセット」にいたっては、単品購入よりも300円も安く販売されているのです。


ドリンクメニューも朝だけお得。コーヒーと和紅茶を100円で販売(筆者撮影)

そして、朝の目玉サービスとしてコーヒーと和紅茶のSサイズを、定価の半額の税込100円で販売しています。

実は「トリキバーガー」はホットコーヒーのおかわりが何杯でも無料というサービスも終日実施しているので、2つのサービスを組み合わせると、100円でホットコーヒーがエンドレスに飲み続けられてしまうのです。お得すぎて怖いほどです。


ホットコーヒーおかわり何杯でも無料は、終日実施中です(筆者撮影)



トリキバーガーのモーニング、サラダチキン〜バジル〜にニョッキボール、ホットコーヒーのMがセットになって500円(筆者撮影)

サラダチキンバーガーのモーニングトリキセット500円

筆者がオーダーしたのは、「トリキバーガー」のサラダチキン〜バジル〜に「トリキセット」を組み合わせた税込500円のセットです。バーガーに、ニョッキボール、ホットコーヒーのMをチョイスしました。

手に持った時点でバーガー自体の重量が想像以上だったのですが、包み紙を開いてみると、みっちりつまったサラダチキンと、厚切りトマト、あふれ出んばかりのレタスで、見た目のインパクトもすごかった。


サラダチキンバーガーは、サラダをまるごと挟んだかのような、ビッグボリューム(筆者撮影)

キッチンスタッフがやけくそで詰め込んだのではないかと心配になる程です。白いバンズと白いサラダチキンに、トマトの赤とレタスの緑のコントラストで、見た目も美しく、目で見てもおいしく仕上がっています。

サラダチキンは、あらみじんにカットされた鶏むね肉をバジルソースであえたもの。さすが焼き鳥が看板商品の「鳥貴族」が手がけているだけあり、使用している鶏肉がおいしい。臭みのないジューシーな鶏肉は、かむほどに旨味が口の中に広がります。さっぱりしているのだけれど、味が濃い。


バンズのクラウンをめくると、サラダチキンとレタスがぎっしり(筆者撮影)

野菜は新鮮で状態が良く、ボリュームも文句なし。「モスバーガー」に負けずとも劣らずの、野菜の重量感です。サラダチキンと一緒に食べると、朝にぴったりな爽やかさです。

白いバンズのしっとり感にも驚かされました。水分をたっぷりと含んだ口溶けの良い白パンは、しっかりと厚みがあるにもかかわらず唇で噛み切れるほど柔らかく、指で強く持つと指の形にくっきり凹んでしまうほど。

もともとハンバーガーのバンズは、通常のパンよりも歯切れが良く軽いため、それだけで食べるとパサパサだったりするものですが、「トリキバーガー」の白いバンズは、米粉を使用したクセのない味で、具材の繊細な風味を引き立てています。サラダチキンや野菜のみずみずしさとの相性も抜群で、「完成度が高いなぁ」と関心させられました。


ニョッキボールは新食感。フライドポテトやハッシュポテトにはない弾力がありました(筆者撮影)

ニョッキボールは小粒で5個入り。もちもちというかぐにぐにというか、独特の弾力感があって新しくて面白い。ポイッと口に放り込めるサイズなのに、歯ごたえがあるので、意外とお腹にたまります。そのうえコーヒーはおかわり何杯でも無料。ワンコイン500円でいたれりつくせりのセットです。

斬新なしっとり食感のベーコンエッグバーガー

さらに、ベーコンエッグバーガーとあんバターロールもオーダー。ベーコンエッグバーガーは、いろいろなハンバーガーチェーンで提供される定番メニューなのですが、白いバンズで食べるとなんだか未知の味わいでした。


お馴染みのベーコンエッグバーガーも、白いバンズで提供しています(筆者撮影)

しっかり火が通ったプリプリの目玉焼きに、カリカリベーコンと、とろとろにとろけたチーズ。甘めのケチャップにはツブツブ野菜入り。そこにシャキシャキレタスを追加して、しっとりしたバンズで挟む。


バンズのクラウンの厚み、チーズのとろけ具合など、随所にこだわりを感じさせます(筆者撮影)

こちらのバーガーは、具材は温かいのにバンズは常温というちょっとめずらしいパターンで、口の中の食材の温度差や、食感の対比がなんだか斬新です。

「トリキバーガー」公式X(旧ツイッター)で、朝の一番人気バーガーと紹介されているのですが、大いに納得です。

あんバターロールも白いバンズと相性抜群


あんバターロール。おやつパンがメニューにあるのは嬉しい(筆者撮影)

あんバターロールは、ホットドッグタイプの細長いパンに、みっしりタイプのあんこと、極厚のバターが入った、おやつパンです。あんこはシロップで伸ばしたとろっとしたタイプではなく、おはぎに使用するようにしっかり練って水分を飛ばしてあり、ほどよく粒感も残った、濃いあんこでした。


あんバターロールの断面図。きめ細かなパンと、しっとりあんこと分厚いバター(筆者撮影)

バターは有塩で、あんことバターの甘じょっぱさとのハーモニーは、甘党にはたまりません。あんバターはソフトフランスパンと組み合わせることが多いように思うのですが、ここでも水分含有量たっぷりの白パンならではのしっとりとした優しい口当たりは、癖になるおいしさです。

白パンは水分量が多いため、日持ちの問題や、管理の難しさなどはあると思いますが、「トリキバーガー」での取り扱いを継続してほしい。できることなら、他店でも取り扱いを開始してほしい……そんなふうに願わずにはいられない、贅沢なお味でした。

トリキバーガーはおいしさ・安さで地元民に人気の店になっていた

「トリキバーガー」は、2021年8月に東京都大井町にて創業しました。当時は「あの鳥貴族がハンバーガー店をはじめたぞ!」と大いに話題になり、テレビのニュースやWebメディアなどでも盛んに取り上げられました。


鳥貴族と同じイメージカラー、赤と黄色のロゴマーク(筆者撮影)

その半年後、2022年3月には、冒頭で触れたように2号店を渋谷井の頭通りにオープン。このままどんどん店舗数を増やしていくのかと思っていたのですが、今年8月に京都伏見に3号店を出店したものの、なんと2号店は明後日の2023年11月20日をもって閉店することが決定しました。

当記事の取材に、大井町店を訪れたのは日曜の朝9時。50席ほどあるイートインスペースの利用客は、来店時には15人ほどだったのが、じわじわと席が埋まっていき、10時すぎにはほぼ満席になっていました。


羽の生えたハンバーガーのイラスト中央には、お馴染みのキャラクタートリッキーが描かれていました(筆者撮影)

家族連れやカップル、1人で本を読む高齢男性、ノートパソコンで仕事をしている中年男性、参考書を開き勉強している若い女性など、年齢層や性別、利用人数はバラバラながら、どうやらほとんどが地元民で、「トリキバーガー」で長居するのを目的にこの店にやってきているようです。

つまりは、おいしさと安さで、地元民にはしっかりと受け入れられていました。

渋谷井の頭通り店閉店後は、モーニングメニューは大井町店のみの販売となります。値段は安く、サービスはお得で、味も文句なし。「トリキバーガー」の白いバンズを使用したモーニングが食べられるのが日本で1店舗だけなのはもったいなすぎます。ここからの店舗拡大、快進撃を強く願わずにはいられません。

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。


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(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)