Carbon Briefは1月31日(米国時間)、「Wind and solar were EU’s top electricity source in 2022 for first time ever - Carbon Brief」において、風力発電と太陽光発電が2022年に初めてEUにおける発電量のシェアでトップを記録したという調査結果を伝えた。

2021年から2022年にかけて水力発電と原子力発電が大幅に落ち込み、それを補う形で風力・太陽光発電が増加した結果、EU圏内での風力・太陽光発電の電力シェアは全体の22.28%となり、原子力発電の21.92%やガス発電の19.91%を上回った。風力・太陽光発電のシェアが他の発電を上回るのは、2015年に風力発電を、2019年に石炭発電を追い越して以来のことだという。

EUにおける発電種類別の発電量シェアの推移 引用:Carbon Brief

調査結果の詳細は、Emberによる次のレポートで見ることができる。

European Electricity Review 2023 | Ember

レポートによると、2022年にはロシアからのガス供給の制限、干ばつによる水力発電の落ち込み、そしてフランスにおける不具合や従業員のストライキの影響による原子力発電所の停止という3つの電力危機が発生したという。その結果、EUにおける総発電量は総電力需要に対して7%不足するという事態に陥った。このギャップの6分の5が風力発電と太陽光発電の増加、そして電力需要の減少によって埋められたとのこと。残りの6分の1は化石燃料発電、特に石炭発電によって補われた。

ロシアによるウクライナへの侵攻によって、EU諸国のエネルギー政策は、化石燃料による発電から他の代替エネルギーへの移行を余儀なくされている。これは、クリーンエネルギーの大規模なスケールアップが進んでいることを意味している。前述の電力危機により、化石燃料の減少は当初の予想よりも減速したものの、2023年には再び大幅な減少に転じるだろうとレポートでは指摘している。なぜなら、水力発電が回復し、フランスの原子力発電も元に戻る可能性が高いからだ。また、風力・太陽光発電の普及も今はまだスタートしたばかりであり、その成長は2023年も続くと予想されている。

電力需要そのものが減少している点については、2022年第4四半期が前年と比較して暖かかった影響が大きいと考えられている。ただし、天候だけでは減少量の大きさを説明できず、市民の努力による消費電力の削減や、価格の低下に対する懸念が影響を与えた可能性もあるとのことだ。