engadget

コナミが展開するTCG「遊戯王」のデジタル版、「遊戯王マスターデュエル」(PC / PS4 / PS5 / Nintendo Switch /Xbox Series X/ Xbox One / iOS / Android)はかつて遊戯王をプレイしていた人にとっては注目のタイトルで、先月配信されてから僅か1週間で400万ダウンロードを突破するなど、既に多くのデュエリストがプレイしていることが伺えます。

遊戯王を10年位前までプレイしていた筆者は、リリース時から参戦し約一か月間プレイしてみました。今回は、まだ本作をプレイしていない人向けに、この一か月の感想をお伝えします。

関連リンク:遊戯王マスターデュエル

■チュートリアルで召喚方法を把握

マスターデュエルは、「遊戯王」カードのカードプールやルールに準拠しているため(未実装のカードや禁止制限の違いなどはあります)、経験者以外にはややとっつき辛いという難点があります。

また、ルールの難しさはかなり昔にプレイしていたという人にとっても同様です。昔だったら、モンスターをコストに、強力なモンスターを召喚できる「生贄召喚」や、「融合召喚」くらいしか、ルールを把握していなくても問題はありませんでした。しかし、現在の遊戯王では召喚方法が増えただけでなく、細かなカードの裁定まで覚えていなければいけません。

とはいえ、マスターデュエルでは、チュートリアルで基本的な操作に加え「エクシーズ召喚」や「シンクロ召喚」などの特殊な召喚法をチュートリアルで解説してくれるので、長年プレイしていなかった人でも、なんとかついていけます。筆者も、「ペンデュラム召喚」と「リンク召喚」の2つの召喚方法は触ったことが無かったので、ここでルールをなんとなく把握し、あとはデュエルの中で覚えていきました。

最初に選べるデッキにはブルーアイズに関するものも。また、リンク召喚を学べるものも存在します

また、本作には「ソロモード」も存在し、そこであるカテゴリに属したカードのストーリーや、デッキの動かし方を学ぶこともできます。ソロモードをクリアすることで、カードや、パックの購入に使う「ジェム」などの報酬が手に入ります。

ソロモードではカードのストーリーに加え、簡単な展開方法なども学べます

■ルールミスがないのはデジタル版の利点

召喚方法についてはチュートリアルで把握できますが、細かいルールやカードの処理の順番などは、プレイしながら自分で検索して覚えていかなければいけません。膨大なカードがあるゲームなので、致し方ないところ……。

とはいえ、実際のカードを使ってプレイするときと異なり、ルールを把握していなくてもゲーム側が勝手に処理を進めてくれますし、そのお陰でルールミスが起きえないというのはデジタル版の利点です。ルールが複雑なだけに、発動できない効果を使用してしまったり、破壊できないカードを破壊していたりといった、現物で行なうデュエルではありがちなミスを防ぐことができます。

■デッキはお財布に優しく組める

カードゲームで気になるポイントといえば、無課金でどれだけデッキが組めるかということ。マスターデュエルはゲーム開始時のチュートリアルやソロモードなどをクリアしていけば、そこまでレアリティの高いカードを使用するものでなければ、1デッキ組めるくらいのジェムを入手可能です。

また、本作では特定のカードを入手することで、「シークレットパック」が解禁されます。「シークレットパック」では、特定のカードがピックアップされるので、欲しいテーマのカードを手に入れるのにはうってつけ。組みたいデッキの軸となるカードをまとめて手に入れることが可能です。

シークレットパックは24時間という制限時間があるので、ジェムをためて一気に引きたいところです

カードは生成することもでき、同じレアリティのカードを3枚分解すれば、好きなカードを1枚生成することが可能です。最初のうちは多くのデッキに投入できる汎用カードを生成するといいでしょう。「灰流うらら」「増殖するG」といったカードは、非常に多くのデッキに投入できる必須カード。レアリティは最も高い「UR」に設定されていますが、優先的に生成するといいでしょう。

「灰流うらら」は多くのデッキで使用する汎用カード。1度だけ購入できる「灰流うらら」セットで1枚だけ入手できます

最初の一デッキ目に関しては良心的な本作ですが、2つ目、3つ目とデッキを制作していくとジェムが足りなくなってくことに。カードプールが膨大な本作ですが、たくさんのデッキを作るとなると、無課金では厳しいという印象です。

とはいえ、「UR」を一切使わずともランクマッチで勝てるデッキも存在するので、そういった「安くて強い」デッキのレシピを探してみるのもいいでしょう。

デッキレシピは、SNSや検索エンジンで検索すれば、過去の大会優勝歴のあるレシピなどが大量に出てくるので、作りたいデッキや、使いたいカードを使ったデッキの構築が分からない。ということは殆どありません。これも、歴史の長い「遊戯王」だからこそのメリットでしょう。

■様々なカードを使えるのは魅力。検索も簡単

実際にデッキを組んでランクマッチでデュエルをしてみると、想像以上に多様なデッキが存在することに驚かされます。懐かしの「ブルーアイズ」や「ブラック・マジシャン」を使用したデッキや、「シンクロ」「リンク」といった特定の召喚方法に特化したテーマデッキ。魔法トラップのバーンダメージなど様々なデッキとデュエルをすることになります。

様々なカードを使えるのは「遊戯王」の魅力。一見使い辛そうに見えるカードも他のカードとの組み合わせで輝かせることができるのはマスターデュエルでも同様です。懐かしいカードや、絵柄のかわいいカードの使用法を考え、デッキ構築するのも楽しみの一つでしょう。

カードの検索機能は優秀で、名称だけでなく、効果の文面を打ち込むことで調べることも可能です。検索機能を上手く使って、使用したいカードと相性のいいカードを探すといいでしょう。

ただ、本作は2月現在ランク戦しか実装されていないため、到達によって報酬が貰える最高ランクまでいかないと、ファンデッキが使い辛いという難点があります。今後、カジュアルルールが追加されることを期待しています。

効果を検索することで、名前を知らなかったカードも検索できます

■妨害の読みあい。長時間展開とどう向き合うか

タイトルで釣り気味に「デッキが多様で最高楽しいけど……が気になります」としましたが、……とは「プレイ時間」です。

遊戯王は他のカードゲーム(とくにデジタルカードゲーム)に比べ、相手ターンにも妨害することができるのが大きな特徴です。遊戯王は昔は「落とし穴」といった罠カード程度のものしか妨害カードは存在しませんでした。しかし、現代の遊戯王では、先行で大量にカードを展開し、妨害できるカードを場にそろえるようなギミックを、多くのデッキが搭載しています。また、逆に後攻でも、相手の動きを止められたり、盤面をひっくり返すカードが存在するなど、展開に対抗する手段もしっかりと存在します。

こんな風に、遊戯王の環境はインフレが進んでおりマスターデュエルで復帰した人にとっては、完全に異世界です(笑)。そのため、最初のうちは一方的に、何もできないまま倒されてしまうということも多いでしょう(正直、遊戯王は昔から、一方的に倒されるゲームだった気もしますが、中堅レベルのデッキでも、そうしたパワーを持っているのは驚かされました)。

妨害カードの代表格「ニビル」には筆者もお世話になっています(もちろん被害にもあっています)

多くのDCGが「暇な時間にさくっとプレイ」されることを特徴としてきたのに対し、TCGのデジタル化である本作は一ターンが長くなることも。特に「ソリティア」と揶揄されるような長時間の展開は、妨害札の有無といった読み合いを生み出す一方で、後攻で相手の展開を数分間見続け、返す手段がなく降参を押すだけの試合を発生させてしまうという自体を発生させてしまいます。

こうした「ソリティア」はどうしてもモチベーションを低下させてしまうので、ストレスを感じたら(デュエリストとしては褒められた行為ではないかもしれませんが)、動画を見たりしながら相手のターンが終わるのを待ったり、さっさと降参してしまうのも手かもしれません。実際、長く本作を続けるには、こうした割り切りも必要となってくるのではないでしょうか。

これに関しては、ターン時間の調整により長考を減らしたり、カードの処理時の演出を短くするなど。1ターンの時間が短くなるような調整や、降参時に何らかの形で報酬を付与するといったアップデートに期待します。

■ライトユーザー向けのアップデートに期待

と、かなり正直に書いてしまいましたが、、「遊戯王」は様々なデッキを組むことができ、プレイングも奥深いゲームであることは間違いありません。また、デジタル環境でプレイできるということで、対戦相手に困らなかったり、ルールの間違いがなかったりといった数々の利点があるのも事実です。

それでも、ライトなデュエリストが長く続けられるようにするためにも、細かい部分のブラッシュアップは必要だと感じました。先日のイベントでは、報酬システムの問題点にいち早く対応したり、アップデートで、ユーザーからの要望が多かったソロモードの難易度が低下したりと、スピーディな対応が見られたので、今後のアップデートには期待したいです。

難点があるとはいえ、遊戯王の魅力はそのままですし、デジタル化されたことによるメリットもかなり大きく、筆者のような一度離れたデュエリストや、動画などで「遊戯王」を面白そうだと思った人にこそ遊んでほしいタイトルとなっています。

関連リンク:遊戯王マスターデュエル

©スタジオ・ダイス/集英社・テレビ東京・KONAMI
©Konami Digital Entertainment