左上から伊野尾慧(Hey!Say!JUMP)、豆原一成(JO1)、なにわ男子(なにわ男子の写真は『ISLAND TV』より)

写真拡大

 伊野尾慧、なにわ男子、JO1の豆原一成……など、今、『めざましテレビ』(フジテレビ系)がアイドル色を一気に強めている。なぜ、アイドル路線の強化を進めるのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

【密会写真】シンガポールのプールでセクシー女優とイチャつく伊野尾慧

 今月、JO1の豆原一成が『めざましテレビ』(フジテレビ系)のマンスリーエンタメプレゼンターに就任した。出演前から番組内で「番組史上最年少プレゼンター」として繰り返しPRしていたところに制作サイドの期待を感じさせられる。

 同番組にはHey! Say! JUMPの伊野尾慧が木曜レギュラーとして出演しているが、11月2日には後輩のなにわ男子による冠コーナー『なにわ男子のなんでやねん!』『なにわ動画』がスタート。なにわ男子は現在10代にトップクラスの人気を誇るとはいえ、まだCDデビュー前のアイドルグループであり、大抜てきと言える。

 また、エンタメ情報コーナーに目を向けても、2日に「V6の25周年ライブ“聖地”に帰還」、3日に「進化が止まらない!JO1の末っ子 豆原一成」「JO1 ハロウィーンダンス」「21年前の嵐と歌声コラボ 嵐が“夢を持つことを応援”特別映像」、4日に「嵐 7年ぶりアラフェス 21周年記念日にライブ配信」「V6・井ノ原快彦、なにわ男子・道枝駿佑、ジャニーズ世代間ギャップに迫る」、5日に「Stray KidsとJ.Y.Park対談を初公開」「芸能界でもブームに。BTS 歴代最速ダイナマイト現象」「嵐 無観客ライブ 3日間の再配信が決定」「Sexy Zone 5人の新曲。松島聡 約2年ぶり復帰」と連日アイドル絡みのニュースを大量にピックアップ。

 YouTubeの『めざましテレビチャンネル』に目を向けても、「イノ調の裏側」「豆ちゃんの初回オンエア終わりを直撃!」「なにわ男子のなんでやねん 初回ロケに密着してみた」「なにわ男子のインタビュー未使用部分 公開します!」など、ここにきてアイドルの動画がグッと増えている。

 『めざましテレビ』がこの秋にアイドル色を一気に強めているのは間違いないが、どんな背景や狙いが考えられるのか。

タレント色の濃い
女性アナウンサーが勢ぞろい

『めざましテレビ』は、常に視聴率首位争いを続けてきた朝の情報番組で王者とも言える存在。フジテレビの視聴率が全体的に下がった2010年代も、「『めざましテレビ』だけは踏みとどまっている」と言われていた。

 それを支えてきたのが、八木亜希子、小島奈津子、高島彩、生野陽子、加藤綾子と引き継がれてきた女性アナウンサーたち。男女を問わず好感度の高い女性アナウンサーを起用することで視聴者を引きつけてきたが、現在は以前よりもタレント色の濃いメンバーをそろえている。

 メインの永島優美を筆頭に、久慈暁子、井上清華、藤本万梨乃は、大学時代に芸能活動の経験があり、自分の見せ方を熟知。その華やかさで男性視聴者を癒すアイドル的な存在となっている。裏番組の『ZIP!』(日本テレビ系)、『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)、『あさチャン!』(TBS系)と比べれば、タレント色の濃い女性アナウンサーをそろえていることは一目瞭然だ。

 先日、「好きなお天気キャスター/天気予報士ランキング」(ORICON NEWS)で連覇を達成した阿部華也子も含め、彼女たちのアイドル的な人気で男性視聴者を引きつけているのは間違いない。となれば、次に狙うのは女性視聴者であり、ジャニーズやJO1に白羽の矢が立つのは当然の流れに見える。

 もう1点、今春にビデオリサーチによる視聴率調査がリニューアルしたことによる影響も見逃せない。性別や年齢層などの詳細データがわかるようになり、「スポンサーの求める10〜40代に見てもらうこと」が最重要視されるように変わった。

 また、若年層にテレビに関するアンケートを取ると、「見ている番組」としてもっとも挙げられるのが朝の情報番組であり、ネット中心の生活をしている人も「見るとしたら朝の情報番組くらい」という声が目立つ。視聴率調査がリニューアルされたことで、制作サイドは「これらの層をどんな戦略で取り込んでいくのか」を問われているのだ。

 その戦略は視聴率調査がリニューアルされた4月以降のマンスリーエンタメプレゼンターに表れている。ここまで、なにわ男子の大橋和也、DISH//の北村匠海、JO1の豆原一成が務めてきたが、霜降り明星、ガリットチュウ、森崎博之(TEAM NACS)、中林大樹、林家たま平らが起用されていた昨年とは、まったく異なる観点で選ばれていることがわかるだろう。

「ファン層を一気に広げられる」
アイドル側のメリットは

 起用されるアイドル側の目線で見ても、『めざましテレビ』への出演で得られるメリットは計り知れない。

 もともと朝の情報番組は、アイドルの強みである明るさや笑顔を存分に生かせる場。さわやかでフレッシュな印象を与えられるこれ以上ない番組と言っていいだろう。逆に言えば、中堅アイドルや大物アイドルになってしまうと、その印象が薄らぐため、「出してもらえるなら、できるだけ若いうちに」ということになる。

 もちろん全国放送されることで得られる知名度アップのメリットは大きいのだが、なかでも重要なのはファンの年齢層を広げられること。夜のゴールデンタイムにも、『めざましテレビ』ほど、幼児から学生、ビジネスパーソン、主婦、高齢者まで、あらゆる年代の人々に見てもらえる番組はない。つまり、出演者にとってはそれほど稀有で貴重な番組であり、ファンの年齢層を一気に広げるチャンスなのだ。

 アイドルグループを抱える芸能事務所としても、優先的に出演させたい番組の1つであり、制作サイドとの利害が一致していることから、今後も起用は続いていくだろう。ただし、もし『めざましテレビ』が視聴者に嫌われはじめるとしたら、アイドル路線を進めすぎたときなのかもしれない。

木村隆志(コラムニスト、テレビ解説者)
雑誌やウェブに月間20本強のコラムを提供するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各番組のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもあり、主要番組・新番組、全国放送の連ドラはすべて視聴。著書に「トップ・インタビュアーの「聴き技」84」「話しかけなくていい!会話術」など。