価格帯は310万2000円〜409万2000円(写真:SUBARU)

2019年10月に開催された第46回東京モーターショーで、プロトタイプが世界初公開されてからおよそ1年、待望の新型レヴォーグが先日発表となった。日本車としては、少数派のステーションワゴンというジャンルだが、その卓越した走行性能と先進安全装備であるアイサイトなどが高く評価され、多くのユーザーに愛されている。


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新型レヴォーグは、スバルグローバルプラットフォーム(SGP)の採用や、新開発の水平対向4気筒1.8L直噴ターボエンジン、より進化したアイサイトなどを備えたことで従来型のユーザー以外からの注目度も高い。そんな新型レヴォーグの狙い目グレードを紹介する。

新型レヴォーグのグレード構成は6つ。ベーシックな「GT」、装備の充実した「GT-H」、スポーティーかつ先進的な装備を持つ「STI Sport」の3グレードに大別され、さらに新世代アイサイトとなる「アイサイトX」を搭載した「EX」系がそれぞれに用意される。

価格は「GT」の310万2000円から「STI Sport EX」の409万2000円と、同一車両ながらおよそ100万円もの価格差が存在する。ただし、搭載されるエンジンはもちろん、リニアトロニックと呼ばれるミッションや常時全輪駆動の駆動方式は共通なので、純粋に価格差=装備の差と考えてよいだろう。

付加価値の高い「アイサイトX」搭載グレード

レヴォーグを購入する際にグレード選びよりも先に検討してもらいたいのが、最新の運転支援技術である「アイサイトX」を選ぶかどうかだ。衝突被害軽減ブレーキの先駆者とも言えるアイサイトは2008年に登場し、「ぶつからないクルマ?」のキャッチコピーで一躍その知名度を上げた。

そんなアイサイトの最新型が「EX」系に搭載される「アイサイトX」だ。アイサイトXの最大の特徴は、自動車専用道路上での渋滞時に一定の条件を満たすと、ステアリングから手を離すことを可能な「渋滞時ハンズオフアシスト」機能だ。


アイサイトXは渋滞時ハンズオフアシストも搭載(写真:SUBARU)

これはGPSや衛星からの情報と、車線単位の道路情報を持つ3D高精度地図データを組み合わせることで実現した機能で、それに付随して「カーブ前速度制御」や「料金所前速度制御」も備わることで、ロングドライブの疲労軽減に大きく寄与するものとなっている。

さらに自動車専用道路上での車線変更をアシストする「アクティブレーンチェンジアシスト」や、クルーズコントロール作動中にドライバーに万が一のことがあった際に徐々に減速・停止し、ハザードやホーンで周囲に知らせる「ドライバー異常時対応システム」なども備える。


(上)より安全性が高くなったアイサイトXを選ぶ場合はEX系の選択がマスト、(下)安全性を高めたアイサイトXの主な機能(写真:SUBARU)

アイサイトX搭載のEX系グレードは、ベースグレードから38万5000円高(全グレード共通)となるが、ベースグレードでメーカーオプションの「11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテイメントシステム(27万5000円)」や、コネクティッドサービスなども標準装備となるため、アイサイトXは実質11万円のオプションと言える。

コネクティッドサービスの「SUBARU STARLINK」は、急な体調不良などの緊急事態のほか、あおり運転に遭った際にも活用できる「SOSコール」のほか、エアバッグが作動するような事故が発生した際は自動的にコールセンターに繋がるサポートが付帯される。これらのサービスは新車購入の場合、5年間無料で使用できるので使わない手はないだろう。


SUBARU STARLINKのサービス内容(写真:SUBARU)

そしてEX系では、ベースグレードではオプションでも選択できない12.3インチ液晶メーターも標準となる。これはドライバー目の前のメーターがすべて液晶モニターになるもので、通常のメーター画面のほか、ナビ情報と連携する地図画面や、アイサイトの情報をわかりやすく表示する画面への切り替えも可能な先進的なメーターとなっている。


アイサイトX搭載車のみとなる12.3インチフル液晶メーター(写真:SUBARU)

事前受注の90%以上はアイサイトX搭載車

ベースグレードにも従来より進化したアイサイトが標準装備されるため、それで十分と考える人もいるかもしれない。


全6グレード構成。GT・GT-H・STI SPORTで、それぞれにEXが設定される(写真:SUBARU)

しかし、アイサイトXをはじめとする先進安全装備は付加価値が高く、レヴォーグを「ツーリングワゴン」として使うのであれば、EX系グレードを選択したい。ちなみに事前予約分の8290台のうち、93%のユーザーが「アイサイトX」搭載車を選んでいるという事実もお伝えしておこう。

「EX」系にするかどうかを決めた後は、いよいよグレード選択に移る。グレード毎の価格差は「GT」系と「GT-H」系で22万円、「GT-H」系と「STI Sport」系で38万5000円となる。「GT」系と「GT-H」系の最もわかりやすい違いは、装着されるタイヤホイールが17インチとなることだろう(ほかのグレードは18インチ)。あとはヘッドライトなどの加飾やアンビエント照明が省かれるといったところ。

機能的な差は、リバース連動ドアミラーやドアミラーメモリー&オート格納機能、助手席パワーシート、リアシートヒーター、ハンズフリーオープンパワーリアゲートといった装備だ。これらの装備はあるに越したことはないが、なくて大きく困ることはないといったものが中心なので、少しでも安く新型レヴォーグを狙いたいという人は「GT」系でも不満が出ることはないだろう。

「STI Sport」系は、専用デザインの18インチアルミホイールやフロントバンパー&グリル、大型マフラーカッターなどのスポーティーな外装と、ボルドー/ブラックの専用カラー本革シートなどが備わり、特別感がプラスされている。

さらに減衰力を可変制御するZF製の「電子制御ダンパー」や、クルマの特性を「Comfort」から「Sport+」までの4つのモードと、各デバイスの特性を自由に設定できる「Individual」の計5パターンから選ぶことができる「ドライブモードセレクト」がスバル車として初めて装備している。

これらの専用装備のおかげで「STI Sport」系の走りのレベルは、明らかにワンランク高いところに位置している。もちろん「GT」系や「GT-H」系の走りが退屈というわけでは決してないが、積極的に走りを楽しみたいと考えるユーザーには太鼓判を押せる仕上がり言える。


新型レヴォーグの走りを存分に楽しむならSTI SPORT(写真:SUBARU)

新型レヴォーグらしさならSIT Sport EX!

新型レヴォーグらしさを100%楽しみたいと考えているのであれば、「STI Sport EX」一択となるだろう。車両本体価格は400万円を超えてしまうが、現段階でのスバルの最新技術の粋を集めたモデルに仕上がっており、それよりも高いプライスタグを掲げる輸入ステーションワゴンに勝るとも劣らない実力を兼ね備えている。

逆に極力少ない出費で新型レヴォーグらしさを味わいたいと思うのであれば、「GT-EX」がオススメだ。348万7000円という価格は「STI Sport EX」よりも60万円以上安くなるが、装備の面で大きな不満が出ることはないだろう。もちろんアイサイトX搭載だ。

もし「アイサイトX」は不要と考え、ベースグレードを狙う場合は、「11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテイメントシステム」を含むセットオプションを選ぶことをオススメしたい。27万5000円と高額なオプションではあるが、新型レヴォーグの内装にマッチした縦型の大型モニターがインストールされ、ナビはもちろん、スマートフォン連携もできるようになる。

実はこのオプションを選択しないユーザーのために、ディーラーオプションとして一般的な横長タイプの9インチビルトインナビゲーションが2種類用意されているのだが、どちらも30万円前後という価格となっており、上記のオプションよりも高額になってしまう。人気の車種だけに今後社外品も多く登場することは予想されるが、現段階で購入をするのであれば内装との調和のとれたメーカーオプション品を選ぶのが間違いないだろう。

国産では数少ないステーションワゴンとして大人気のレヴォーグ。フルモデルチェンジした新型では、アイサイトXをはじめとした最新技術も搭載し、さらに性能・質感も向上した。その中から自分のカーライフにマッチしたグレードを選んでほしい。