海のミネラルやうまみがたっぷり詰まった食材、生牡蠣。旬の新鮮な生牡蠣は、身も大きく食感もプリプリしていて格別です。1年のうち旬の時期は夏と冬に限られており、栄養価もうまみもぐっと高まります。旬の牡蠣を少しでも長く保存できたら、嬉しいですよね。そこで今回は、牡蠣の上手な保存法についてお伝えします。

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■殻付きの生牡蠣を保存する方法
生牡蠣が殻付きのまま手に入ったら、できるだけ鮮度の良いうちに保存をしたいものです。殻がしっかりと閉じていたり、触ると殻が閉じるのが新鮮な証です。身の弾力とつやがあるうちに、正しく保存しましょう。

・殻に付いた汚れを水で洗い落とす



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保存する方法にかかわらず、まずは殻付きの牡蠣についている汚れを水で洗います。殻の間にも砂や小さな寄生虫などが入っている場合があるので、たわしなどのブラシでかき出ししっかりと汚れを落としましょう。

・殻付き牡蠣を冷蔵庫保存する手順



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牡蠣は乾燥に弱いので、適度な湿り気が必要です。
保存容器を用意し、洗った牡蠣を殻が深い方を下にして並べる。
濡らしたキッチンペーパーや新聞紙などを上からかぶせる。
さらに上からラップをふんわりかけておけば、乾燥を防げます。

もし量が多く、冷蔵庫に入り切らない場合は、発泡スチロールなどに保冷剤を入れて保管する方法もあります。

・殻付き牡蠣を冷凍庫保存する手順


すぐに食べきれないと分かったら、早めに冷凍保存しましょう。少しでも新鮮なうちがおいしく保つ条件です。
牡蠣を洗った後、水気をしっかりふきとる。
一つずつラップをし、保存袋に入れて冷凍庫へ。

・生牡蠣の保存期間は短い


上記のようにしっかりと保存方法を守れば、水揚げされてから5日間は生のまま食べられるとされています。ただし、家庭用冷蔵庫の環境はご家庭によって違うので、少しでも早く食べきる方が良いでしょう。もし時間が経過してしまったら、生で食べるのではなく、焼き牡蠣や蒸し牡蠣すると安心です。

・殻を剥く時は「ドライバー」を使う



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牡蠣の殻を剥くためには、『オイスターナイフ』と呼ばれる専用の道具があります。しかし、なかなかすぐに用意できませんよね。代用できるのが、マイナスドライバーまたは、ステーキ用の丈夫なナイフです。これならご家庭でもすぐ用意できますよね。殻で怪我をしないように軍手もはめて、注意して剥きましょう。

■むき身の生牡蠣を保存する方法

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むいた状態で保存すれば、冷蔵庫内の場所をとらず手早く調理できて便利です。

・塩水は捨てない


むき身の牡蠣が、塩水に浸かっている状態で手に入った場合、その塩水は捨てずに保存袋に入れて一緒に保存しましょう。一部を保存したいときや、残りを冷凍したいという時も活用できます。

・片栗粉と塩水で汚れやぬめりを落とす



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まずはぬめりや汚れを取り除きましょう。
ボウルなどの容器に牡蠣を入れ、牡蠣100gに対して大さじ1弱の片栗粉をまぶす。

粉っぽさがなくなるまで、手でやさしく混ぜる。特にヒダの部分は念入りに。
別の容器に、濃度3%の塩水(水500mlに対して塩15g)を用意し、その中で牡蠣についた片栗粉を洗い流す。
キッチンペーパーでやさしく押さえ、水分をふき取る
塩水の中で洗い流すと、身が縮みにくく、うまみを逃しません。

・むき身の牡蠣を冷蔵庫で保存する場合



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海水や塩水に入っているパックのむき身の牡蠣の場合は、保存袋に入れ替えてそのまま冷蔵庫へ入れるか、洗ったあとひとつずつラップに包んでから保存袋に入れましょう。

・むき身の牡蠣を冷凍庫で保存する場合


パックのむき身の牡蠣の場合は、塩水と一緒に保存袋に詰め替えて、そのまま冷凍庫に入れて大丈夫です。そうでない場合は、しっかり洗って水気を取った後、ひとつずつラップにくるんでから保存袋に入れて冷凍庫で保存しましょう。

・長期間保存出来る



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冷凍保存すれば、約1ヶ月はおいしくいただけます。ただ、ご家庭の冷蔵庫は温度環境がそれぞれ異なりますので、あくまで目安です。状態をよく確認してから食べましょう。多少手間はかかっても、保存の手順をしっかり守れば、プリプリ感と風味をより長く保つことができますよ。

■冷凍保存した牡蠣の解凍方法
解凍したときに、身が縮んでしまったり、触感の良さが損なわれてしまったりするのは残念ですよね。そんな不安をがなくなる、上手な解凍方法がありますので参考にしてください。

・殻付きの牡蠣は「電子レンジ」で



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耐熱のお皿に、牡蠣の殻のふくらんでいる方を下にして並べ、ラップをふんわりとかけます。5つの牡蠣に対して、500wの電子レンジで5〜6分ほど加熱すると、簡単に蒸し牡蠣が出来上がります。牡蠣のサイズや個数によってレンジにかける時間は調整してください。火が通ったかどうかの目安は、殻のふたが少し開いたときです。触ってみて弾力があれば大丈夫ですが、心配であれば一つ取り出して断面を確認してください。

・むき身の牡蠣は「冷蔵庫」か「塩水」で


冷蔵庫の中で自然解凍を待つか、お急ぎの場合は塩分濃度2%ほどの塩水をボールの中で作り、冷凍したむき身の牡蠣を入れ、そのまま浸しておけば15分程度で解凍できます。ただし、中心部が解凍されていないと火の通りが悪くなり、食中毒の危険性もでてきますので、鍋料理や煮込み料理などしっかり火を通す場合にしましょう。

・常温放置は食中毒の危険性大




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常温なら早く解凍できるからといってついやりがちですが、冷蔵・冷凍にかかわらず常温での放置は禁物です。基本的に10℃以下の冷蔵か冷凍庫での保存が好ましく、一度冷凍した牡蠣は必ず火を通してから食べるということを守りましょう。常温にさらされた牡蠣は、ノロウィルスなどの食中毒の原因になる菌が繁殖している可能性があります。手に入ったらすぐに冷蔵か冷凍保存をしてください。

■冷凍保存した牡蠣のおすすめレシピ5選
冷凍してしまったら生食が出来ないですが、牡蠣料理はバリエーションが豊富。シンプルに焼き牡蠣や蒸し牡蠣もおいしいですが、これから紹介するレシピも食材に牡蠣の出汁がしみわたって、磯の香がたっぷり楽しめますよ。

・炊き込みご飯



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牡蠣を出汁と一緒に煮込み、炊きあがったご飯に後から混ぜ合わせることで、身が縮みすぎずプリっとした触感が楽しめます。


<材料>( 2 人分 )
お米1.5合
生カキ150g
酒大さじ1
ショウガ(せん切り)1片分

<調味料>
酒大さじ2
しょうゆ小さじ2
塩小さじ1/3
ミツバ1/2束


<下準備>
お米は炊く30分以上前に水洗いし、ザルに上げておく。
生カキはザルに入れ、塩水につけながら振り洗いし、水気をしっかり拭き取る。
ミツバは根元を切り落とし、ザク切りにする。
<手順>
フライパンに生カキと酒を入れて火にかけ、カキがふっくらとしたら火を止める。ザルに上げ、残った煮汁も取っておく。
炊飯器に洗ったお米、カキの煮汁、調味料、普通に炊くときの線まで水を加える。ショウガを加えてひと混ぜし、スイッチを入れる。
炊き上がったらカキをのせ、10分そのままで蒸らす。ミツバを加えて全体に軽く混ぜ合わせ、余分な水分を飛ばし、茶碗によそう。

・酒蒸し



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牡蠣のふっくらとした身とうまみそのものを楽しむなら酒蒸し。むき身の牡蠣の場合は、洗ったあとにフライパンなどに日本酒と牡蠣を入れ、火が通るまで弱火で蒸すだけでOK。

<材料>
牡蠣5〜6個
酒 適量
レモンまたはポン酢

<手順>
殻付きの牡蠣の表面や殻の間を水でよく洗います。耐熱皿に殻が深いほうを下向きにして並べ、日本酒をふりかけます。
上からふんわりとラップをかけて、殻が開いてきたら取り出し、殻の間からナイフなどを差し込んで開けます。
レモンやポン酢をしぼっていただきます。

・カキフライ



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定番のカキフライは、高温の油を使って短時間で揚げるとサクッと仕上がります。身も縮みにくいので、ふっくらジューシーな牡蠣の身が楽しめます。


<材料>
材料 ( 2 人分 )
生カキ(加熱用)1パック
塩コショウ少々

<衣>
小麦粉大さじ4
溶き卵1個分
生パン粉1カップ
揚げ油適量

<タルタルソース>
ゆで卵1個
玉ネギ1/8個
ドライパセリ小さじ1/3
マヨネーズ大さじ3
キャベツ4〜5枚
貝われ菜1/4パック
トマト1/2個
レモン1/4個


<下準備>
生カキはザルに入れて塩水で振り洗いし、そっと水気を拭き取り、塩コショウをする。カキは身が柔らかいので、ザルでやさしく振り洗いして下さい。
<タルタルソース>を作る。ゆで卵はみじん切りにし、玉ネギは細かなみじん切りにして他の材料と混ぜ合わせる。玉ネギが辛く感じる場合は、布巾に包んで流水にあてながらもみ洗いして、しっかり水気を絞って使えばマイルドになります。
キャベツはせん切りにして水に放ち、貝われ菜は水洗いして根元を切り落とし、長さを半分に切ってキャベツと混ぜ合わせ、ザルに上げる。
トマトは水洗いしてヘタをくり抜き、4つのくし切りにする。レモンは半分に切る。
揚げ油を180℃に予熱する。
<手順>
カキに薄く小麦粉を振り、溶き卵、生パン粉の順に衣をつけて、180℃の揚げ油に入れ、サクッと色よく揚げる。水分の多いカキは、高温の油でサッとカリッと揚げます。
器に合わせたキャベツ、貝われ菜、トマトと一緒にカキを盛り合わせ、レモン、タルタルソースを添える。

・アヒージョ


スキレットで作れば、まるでバルに来たかのような雰囲気が自宅で楽しめます。フライパンでも代用でき、短時間煮るだけなので気軽にチャレンジしやすいですね。バゲットを添えればパーティーのおつまみにもピッタリ。


<材料>( 2 人分 )
カキ(生食用)1パック
ブラウンマッシュルーム6個
ニンニク1片
セロリ(葉)2〜3枚
オリーブ油100ml
ハーブソルト少々
バゲット適量


<下準備>
カキはよく水洗いする。ニンニクは包丁の背でつぶしてからみじん切りにし、ブラウンマッシュルームは半分に切る。
<手順>
スキレットにオリーブ油とニンニクを入れ、中火にかけ香りを出す。
ニンニクの色が変わってきたら、弱火に調節して、ハーブソルトを振り、ブラウンマッシュルームを加える。
ブラウンマッシュルームに火が通ったら、カキを加え、5分ほど煮る。
カキに火が通ったら、セロリの葉をちぎって散らし、バゲットを添えて完成。

・カキグラタン



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カキの旨味がホワイトソースに溶け込んで、まろやかなおいしさが広がります。身のぷりぷり感もそのままに、お子様でも食べやすい味付けです。


<材料>( 2 人分 )
生カキ100〜120g
塩コショウ少々
小麦粉小さじ2〜3
バター20g
カリフラワー1/4株
マッシュルーム(生)3〜4個

<スープ>
牛乳130ml
バター10g
ローリエ1枚
塩コショウ少々
<卵液>
卵1個
生クリーム60ml
ピザ用チーズ80g
ドライパセリ適量


<下準備>
生カキはザルに入れ、塩水で振り洗いする。水気を拭き取り、塩コショウをして小麦粉を薄くまぶす。
カリフラワーは水洗いして、小房に分ける。
マッシュルームは石づきを切り落とし、汚れを拭き取って縦半分に切る。
卵液は卵は溶きほぐし、生クリームと混ぜ合わせる。
耐熱容器に薄く分量外のバターをぬっておく。
オーブンを220℃に予熱しておく。
<手順>
フライパンにバター20gを入れて中火にかけ、生カキを入れる。薄い焼き色が付く位まで炒め焼きにし、耐熱容器に分け入れる。
(1)のフライパンに<スープ>用の材料を入れて強火にかけ、煮たったらカリフラワーを加える。
再び煮たったら火を弱めて5〜6分煮、塩コショウで味を調える。
カリフラワーは汁気をきって耐熱容器に分け入れ、マッシュルームも並べる。
下準備で作った卵液を流し入れ、ピザ用チーズをかける。
220℃に予熱しておいたオーブンでおいしそうな焼き色が付くまで約12分焼き、ドライパセリを振る。

■保存したカキを活用すれば、料理の幅が広がる!

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旬の時期が短い生牡蠣も、保存方法を守れば長く楽しむことが出来ます。また、冷凍した牡蠣を調理すれば生牡蠣とは違った味わいと食べやすさが生まれ、苦手な方でもチャレンジしやすくなりますよね。和洋中とどんな料理にも合わせられる牡蠣料理、料理のレパートリーとして仲間入りさせてみてはいかがでしょうか。
(AYA)