トヨタエンブレムに異変!? ハリアーの「鷹」が消えた!? 車種別で異なる事情とは
車種と販売系統、ブランド戦略の今後は?
クルマのエンブレムは、そのメーカーの企業ロゴが使われることが一般的です。しかし、トヨタ車の多くではモデルや販売系統ごとに独自のエンブレムが採用されていました。なぜ同じトヨタ車なのに、エンブレムが異なって設定されているのでしょうか。
多くの国内外メーカーでは、販売するクルマのフロント部分とリア部分にそのブランドのロゴを付けるのが定番です。
【画像】こりゃ悪そうだ! いろんなトヨタエンブレムをささっと見る(37枚)
また、最近ではそのエンブレムもただの飾りからレーダーやセンサー、カメラが仕込まれているなど、機能性を持ったものに変化を遂げています。
そのなかで、かつてからトヨタではモデル専用エンブレムや販売チャネル専用エンブレムなど、多彩な種類を設定しています。
売れ筋モデルの「プリウス」や「ヤリス」など、多くのトヨタ車はトヨタの企業ロゴ(以下、トヨタマーク)のエンブレムを付けています。
また、2020年6月にフルモデルチェンジした「ハリアー」は現在でこそトヨタマークですが、先代までは「鷹」をモチーフにしたエンブレムを採用していました。
一方の「カローラ」には販売チャネルのひとつとなるカローラ店「C」をイメージしたエンブレム、「アルファード」は「α(アルファ)」をモチーフにしたデザインとなっています。
なぜ、トヨタ車はメーカーの象徴ともいえるエンブレムを各モデルで異なるものを採用しているのでしょうか。
エンブレムのデザインが異なる理由について、トヨタは次のように話します。
「エンブレムのデザインが異なる理由は、モデルごとにコンセプトや歴史が異なるためで、それぞれのエンブレムを採用しています。
また、グローバルで販売するモデルについては、トヨタのエンブレムを採用する傾向があります」
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トヨタ車には長い歴史を誇るモデルがいくつか存在しますが、それらには車種ごとにあしらわれたエンブレムを採用しています。
例えば、トヨタを代表するカローラは、1966年に登場した初代モデルから現行の12代目まで、デザインは変化しつつも「C」をモチーフにしたエンブレムです。
また、カローラ同様にトヨタの代表格となる「クラウン」は、1955年に登場した初代モデルから王冠をモチーフにしたエンブレムを採用しています。
これらはユーザーからの評価も高いようで、トヨタの販売店スタッフは「『クラウンのマークに大金を払っているようなもんだ』と仰ったお客さまがいました」と話しています。
長い歴史を誇るそのクルマならではのブランド戦略という意味合いから、独自のエンブレムを採用し続けているといえます。
トヨタのエンブレムに変化あり?
トヨタは、2020年5月に4つの販売チャネル(トヨタ店・トヨペット店・ネッツ店・カローラ店)の全店舗で全車種の販売を開始しました。
これまでのトヨタは、旗艦セダンである「クラウン」を扱うトヨタ店、そこから派生したセカンドラインで「マークX」などを販売してきたトヨペット店、比較的廉価な量販大衆車種を取り扱うカローラ店、若年層を取り込んできたネッツ店があり、ターゲットとする顧客によって各チャネルが専売車種を持つことで棲み分けを図ってきました。
そのため、前述のカローラの「C」と同様にネッツ店では、ヤリスの先代モデルにあたる「ヴィッツ」や「ヴォクシー」は、「N」をモチーフにしたエンブレムが採用されていました。
しかし、ヴィッツはフルモデルチェンジでヤリスになった際にトヨタマークに変更され、ヴォクシーは前述の全店舗取り扱い開始のタイミングで同じくトヨタマークへと変わっています。
エンブレムの変更について、トヨタの販売店スタッフは以下のように話します。
「全販売店で全車種を取り扱うようになり、それにあわせて車種の統合という話も進んでいるため、エンブレムはどんどん統一されています。
ヤリスやヴォクシーがトヨタマークになったほか、ハリアーも新型からは鷹のエンブレムが廃止されました。
今後、クラウンやカローラといった歴史あるクルマはわかりませんが、そのほかに独自のエンブレムを持つモデルは、軒並みトヨタマークに統一されるという可能性も否定はできないでしょう」
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モデルごとの伝統や販売店ごとのブランド戦略によって差別化されていたトヨタのエンブレムは、国内外での新車販売戦略によって徐々にトヨタマークへ統一されています。
また、トヨタは今後の国内販売において、ラインナップするモデルを半減させる方針も出しており、エンブレムだけではなくそのモデル自体も消滅していくようです。