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加藤紗里さんが、再婚の考えはなく「するとしても事実婚」との意向を示した。2月1日放送の「特盛! よしもと 今田・八光のおしゃべりジャングル」(読売テレビ)に電話出演し、現在交際中の男性はいるものの「今は子どもが第一優先」だと語った。

このような場合、事実婚をした男性と、紗里さんの子どもとは法的にどのような関係になるのだろうか。実際に、事実婚をした相手との子どもを育てた経験のある原口未緒弁護士に聞いた。

●養子縁組をしなければ「単なる同居者」

ーー紗里さんが子の父とは違う男性と事実婚をした場合、子どもとその男性とは、どのような法的な関係になるのでしょうか

私も事実婚を選択していたことがありました。生まれた子どもは、私の籍に入り、事実婚のパートナーである「お父さん」には認知をしてもらいました。子どもは私の名字を名乗っていましたが、いつでも変えようと思えば変えられます。「そのうち、お父さんの名字にしようか」なんて言っていたところ、事実婚を解消することになりました。

紗里さんのお子さんとその男性との場合にも、養子縁組をしないと、法律上の親子関係は発生しないでしょう。単なる同居者という扱いになってしまいます。

ーー事実婚でも、その子と養子縁組はできるのでしょうか

親権者である親が養子縁組を承諾すれば、もちろん養子縁組はできます。

ただ、民法798条で「未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない」と定めています。

ここにいう「配偶者」には事実婚のパートナーは含まれません。そのため、事実婚の場合には、家庭裁判所の許可が必要となるようです。

ーー養子縁組をしないことのデメリットはありますか

養子縁組をしない場合には、法的な親子関係が存在しませんので、法律上の扶養義務(養育費の支払義務)や相続権が発生しません。

また、紗里さんとその男性が婚姻をして、養子縁組をした場合、紗里さんとその男性が共同親権者となります。仮に紗里さんが亡くなった場合にも、養父が親権者のままとなります。

しかし事実婚の場合には、紗里さんだけが親権者となります。親権者がいなくなった場合には、子どもの親族などが家庭裁判所に申し立てをして、「未成年後見人」を選任することになります(民法840条)。

養子縁組をしていないと、単独親権者である紗里さんにもしものことがあった場合、一緒に生活をしていた事実上のお父さんであっても、法律上の立場や権利がなく、お子さんに対して法律上や行政上の手続きが何もすることができない、というデメリットはあるかと思います。

●養子縁組をしないと「お父さん」と認められづらい

ーー子連れで事実婚する場合、もし必要な手続き、デメリットがあれば教えてください

事実婚で出産した私自身は、デメリットを全く考えたことがありませんでした。事実婚での出産は、法律婚とほとんど同じ扱いを受けます。

一方で、子連れ事実婚では、子どもと「新しいお父さん」との間の関係性を法律婚と同様にするためには、養子縁組が必須となります。先ほどお話したように、養子縁組をしない限り、子どもとの関係において法的に「お父さん」とは認められづらいからです。

なお養子縁組をすると、扶養義務者の順位が(1)養父(2)実父となり、それまで実父から養育費をもらっていた場合には、実父からの養育費をもらうことができなくなります。

【取材協力弁護士】
原口 未緒(はらぐち・みお)弁護士
東京護士会所属。心理カウンセリング・ヒーリングも併用しながら、こじらせない円満離婚の実現を目指します。著書『こじらせない離婚―「この結婚もうムリと思ったら読む本」(ダイヤモンド社)
事務所名:弁護士法人 未緒法律事務所
事務所URL:http://mio-law.com