からし蓮根(左から伊織/杉本青空) (C)M-1グランプリ事務局

 昨年、平成生まれ初の王者に輝いた霜降り明星が、テレビ出演本数で、今年のブレイクタレント1位(ニホンモニター調べ)に輝く大躍進。

 これまでも初代王者・中川家から始まり、アンタッチャブル、サンドウィッチマンなど数多くの人気芸人を世に出してきた、漫才日本一を決める『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)。

 SmartFLASHでは、今年もM-1グランプリ2019決勝に駒を進めたファイナリスト9組を直撃。12月22日(日)の決勝までの毎日、1組ずつ紹介していく。

 4組目は初めての決勝進出となるからし蓮根。関西では昨年から賞レースの決勝にいくつも進出し、優勝も果たす若手実力派だが、全国区での露出はまだ少ない。

 しかし、東京の芸人界隈にもその名は轟いており、今春の時点で「今年の優勝はからし蓮根らしい」とまことしやかにささやかれていたという。

 ボケ担当の伊織はバイト先がオール巨人がオーナーのスナック、ツッコミ担当の杉本青空(そら)は美容サロンを経営する女社長と結婚するなど、キャラも立つ2人に話を聞いた。

――決勝進出おめでとうございます。今のお気持ちを聞かせてください。

杉本 発表のとき、名前を呼ばれたのが後半だったので、半ばあきらめかけていました。

伊織 心が折れかけていました。

杉本 ちょっと呼ぶ順番も考えてほしいと思いつつ(笑)、うれしい気持ちと全国のみなさんに漫才を見られるという怖さもちょっと入り混じっています。

伊織 僕は怖さはなくて、とてもうれしい気持ちしかなかったです。

――伊織さんは発表の前に東京タワーに昇ったそうですね。

伊織 はい。例年、発表を待っている間は先輩と過ごしていたんですが、先輩は決勝に行くのに僕たちは落ちてばかりだったので、今年は一人になりたくて。でも、ホテルの部屋に一人でいたら気を失ってしまいそうで、窓からふと見上げた先にあった東京タワーに昇ってきました。

――このM-1でお2人のことを初めて見る方もいると思います。「からし蓮根の強み」はどこだと思いますか?

杉本 僕たちの中にあるべき漫才像みたいなものってないんです。シンプルな設定でわかりやすい導入から、見たことがないような展開の漫才をしているつもりなので、そこが強みだと考えています。

伊織 僕と青空(杉本)にしかできない独自性のある漫才です。他の人がマネしたとしても、できないような “らしいネタ” です。

(C)M-1グランプリ事務局

――ファイナリストの中で意識しているコンビはいますか?

杉本 大阪で一緒にやっている見取り図さん、ミルクボーイさん。一緒に最終決戦まで上がりたいですし、負けたくないという気持ちも強いですね。

伊織 僕も大阪のメンバーが好きで、特に見取り図さんは、リリーさんが僕とキャラがかぶっているので……。

杉本 かぶってないやろ!

伊織 (構わず続けて)かぶってるので、決勝戦で白黒つけたいと思います。

――敗者復活で勝ち上がってきたら怖いのは?

伊織 これはもう、全員ですけど……勢いは誰が出てきてもエグいと思います。

杉本 誰がきてもめちゃくちゃウケるんじゃないかと思っています。それを僕らが止めることはできないので、僕らはそれ以上に面白いネタをやるだけです。

――敗者復活枠も含めて「笑神籤(えみくじ)」でネタ順が決まります。

杉本 前もって順番が決まっていて、1番だったら「うわ! 無理かも」って思いながら臨むことになっちゃうから、逆にやりやすいかなと思っています。

伊織 理想は6番目か7番目です。

杉本 そうですね。9番くらいがやりやすいと感じています。もちろん1番になったらなったで、ちゃんと務めますが、難しいでしょうねえ。

――優勝賞金1000万円の使い道は考えてますか?

杉本 逆に聞きたいんですけど、500万円で家って買えるんですか?

――買いたいエリアによると思います。どこに家を?

杉本 池尻大橋に……。タワーマンションに住んでいるという自分に酔いたいだけなので。タワマンの2階でもいいなと思っています。

――池尻大橋だと、ひと桁ほど足りないと思います。

杉本 そうですか(落ち込む)。僕には家族がいて、親もいますので、家族のために残るものに使いたいですね。あとは、奥さんに資産運用をお願いしようかな……。

伊織 僕はタワーマンションを買って犬を飼います。

杉本 家を買うには足りないって言うてたやん。

――お2人の「人生訓」を教えてください。

杉本 「できんことはせん」。これですね。もうできないことを無理してしようとするのはやめたんです。他人の芸風にあこがれたりすることもあるんですけど、できることだけやって、芸人として認められないとな、と。そう思うことで楽になったこともありましたし、できんことはせんことで、僕らならでは魅力も出せるのかな、と思っています。

伊織 「泣いて寝たらスッキリさ」。めちゃくちゃ腹が立ったことがあっても、僕は寝たら忘れるので。僕は30分泣けば全部忘れるんです。

――であれば、寝なくてもいいのでは?

伊織 忘れはしますけど、スッキリするためにはやっぱり寝ないとダメですね。泣いて、寝る。これでスッキリです。

※『M-1グランプリ2019』は今年も今田耕司・上戸彩を司会に、12月22日(日)18:34からテレビ朝日・ABCテレビ系で生放送

構成&文/松田優子