7日、北朝鮮のミサイル発射について都内で外国人記者の質問に答えるキム・ミョンチョル朝米平和研究センター所長。(撮影:東雲吾衣)

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「アメリカ人にはユーモアのセンスがない」――。北朝鮮による複数の弾道ミサイル発射から2日経った7日、金正日朝鮮労働党総書記の「非公式スポークスマン」と言われるキム・ミョンチョル朝米平和研究センター所長が、東京都千代田区の外国特派員協会で講演し、開口一番米国とブッシュ政権をこう皮肉った。

 キム所長は「金総書記はブッシュ大統領に60歳の誕生日のお祝いを贈呈した」とジョークを連発、外国人記者の笑いを誘った。ミサイルは日本海に着弾、ハワイ周辺海域はもちろん、米本土にさえ達していないと述べ、「何を大騒ぎするのか」と日米両国政府の対応とメディアの過剰反応をけん制した。
 
 同氏は、ミサイル発射を通常の軍事演習の一環であり、国際法上容認された行為であると主張し、北朝鮮に対する国連の制裁決議を求めた日米両政府の対応を「暴挙である」と強い口調で非難した。さらに、同氏は日米両国政府の経済制裁措置を「戦争行為である」と指弾。

 国際法上の慣例である事前通告なしの発射は「挑発行為ではないのか」とする質問に対しては、ワシントンポスト紙の記事を引用し、「北朝鮮漁船に対する事前通告はあった」と答え、通常の軍事演習であったことを繰り返して主張した。今後の「テポドン2」の発射については、「金総書記のみぞ知る」と答えるにとどまった。
 
 今後の中国との関係に関する質問に答えて、同氏は「中国は同盟国であり、国連制裁決議案に賛成するというような、北朝鮮に対して愚かな行動をとるとは思えない」との見方を示した。また、今回のミサイル連続発射の目的と北朝鮮が意図した着弾地点について問われ、同氏は冒頭のブッシュ大統領の誕生祝い発言を繰り返し、会場を煙に巻いた。【了】

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