16日午前11時46分ごろ、宮城県沖で発生した震度6弱の地震を伝える昼のテレビニュースで、同県牡鹿(おじか)郡の東北電力女川(おながわ)原子力発電所が映し出された画面があった。画面では、発電所の建物から「白い煙」が上がっているシーンがあり、放送直後からこの煙の「正体」に関する問い合わせがライブドア・ニュースにあった。

 女川原発には1号機から3号機まで3基の原子炉があり、総出力217.4万キロワットの電力を東北6県と新潟に供給している。一般的に、原子力発電所は大規模地震にも耐えられる設計になっており、地震があると自動的に原子炉が停止する安全設計になっている。

 地震の大きさを表す単位は、「地震の規模」を示すマグニチュードと「揺れの大きさ」を指す震度のほかに、「加速度」を表すガルと「速度」で表示するカインがある。東北電力によると、女川原発は安全基準で200ガル以上の「加速度」を感じると自動停止するようプログラムされており、16日の地震では251.2ガルが記録された。因みに、関東大震災では最大330ガル、阪神淡路大震災では最大800ガルの加速度が生じたとされている。

 女川原発には出力5625キロボルトから7600キロボルトまで8台のディーゼル発電機があり、センサーが地震を感知するとこの発電機が自動的に作動し、安全に3基の原子炉を停止される仕組みになっている。16日はこの8台のディーゼル発電機が一斉にスタートしたため、排気ガスが「白い煙」となって立ち上り、これがテレビニュースで生中継されたため、一部視聴者の目に止まったというわけだ。【了】