27億人がオンライン上にいる時代の、企業のブランド力とは

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ビッグデータ時代の到来が叫ばれて久しいが、実際に企業はデータをいかに活用すればいいのか。IBMが語る3つの柱には、サーヴィスを提供する側にとって必要なアクションが何か、ヒントを見いだせる。5月に行われた基調講演より紹介する。

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「世界中の人々の25%がSNSを利用しており、いまこのときも、27億人がオンライン上にいる。そして、作業の62%がクラウド上で行われる」

データについての話題はさまざまで、それをどう捉えるのか、方法論には事欠かない。IBMコーポレーション ソフトウェアのディーパック・アドバニが語る内容は、とにかく新しい時代がすでにそこにあることに、改めて気づかせるものだった。

5月、都内にて行われた「IBM Software XCITE Spring 2014」の基調講演では、データ時代のいま、いかにイノヴェイションを生み出すか、IBMが考えるソリューションが紹介された。

この数字は、どんな意味をもつのか

オンライン上で活動する人たちをいかにして動かすか考えようと思えば、例えば人がどのように買い物をするのか考えてみるといい。彼らは実際に広告を見るのか、それとも信頼できる友人の言うことに耳を傾けるのか。オンラインでリサーチしてから買い物をするのではないか。購入したあとでも、マニュアルを読むのか、それともつどグーグルで検索するのか。

消費者は力をもっていて、いい情報も悪い情報も発信する。そのとき会社は、どうすればブランド力を発揮できるのか。アドパニが強調するのは、洞察、すなわち「インサイト」の重要性だ。

IBMが考えるのは、3つの核。すなわちデータ、クラウド、そしてエンゲージメント。データをクラウドで活用することで、エンゲージメントを達成できるのです」

競争優位性をもつためには、データをいかに活用するかが肝となる。優れた意志決定をするためにはデータが必要で、積み上げられたデータがあるからこそ、確信をもって実行し、迅速にリアルタイムに実行することができる、というわけだ。

例えばいま盛んに議論されるIoT(Internet of Things、モノのインターネット化)の流れがある。IoTにおいては、データの大半がマシンに組み込まれたセンサーによって生み出され、企業はそのデータを活用し、よりよい判断を下せる。つまり重要なのは、データをビジネスプロセスに組み込むことにある、というのがアドパニの意見だ。

同時に、例えばWatsonのような予測システム(コグニティヴ・コンピューティング)の存在も大きい。多種多様なデータに対応していく。単に言語を理解するだけでなく、どんな感情が存在するかも予測していく。結果として手間を省き、顧客満足度も上げることができる。IBMが描く未来図は、そのようなかたちを実現することにある。



「多くの場合、コールセンターを使うことでサーヴィスへの不満を吸い上げる。いままでは、できるだけコストを下げることを考えられていたのだろうが、コールセンターは大事なエンゲージメントの場。データをリアルタイムで反映することのできるアプリケーションを埋め込むことで、即座によいアクションをできるようにして、苦情を吸い上げ、提案すべきソリューションを見いだせるのです」

クラウドは、企業のエンジンだ

膨大なデータを吸い上げたとする。すると、それらのデータの種類はいくつも存在しているはずだ。そのとき、それらのデータが構造化されていなければ活用することは難しい。

アドパニはこう語る。「クラウドは必ずしも技術ではなく、ビジネスモデル。企業の能力であり、エンジンとなり得るもの。いまや、短いタームでサーヴィスを提供していく時代で、スピードが、完璧よりも求められている」

組織が縦割りでなく、開発者がビジネスに参加できる。そのためには、いま起きているものを感知して、即座に反応できる仕組みが必要だ。適切な環境が必要で、そのためにクラウドが活用される必要がある。フロント・オフィスとバック・オフィス両方にスピードとイノヴェイションが必要とされるいま、クラウドは迅速なイノヴェイションのためのプラットフォームであり、ビジネス成長の原動力となるわけだ。

IBMの調査によると、多くの企業においてITに割かれている予算は、決して増えていないのだという。維持費に使われてしまっている。IT部門にはイノヴェイションを起こせない。

「リソースを自由にして事業部門と協力することで、生まれるものがある」

より多くの開発者が、ビジネスに対して新しいインパクトを生み出すことができる時代。「いまわれわれは、革命の途中にいる。未来を語るすべては、大きなチャンスを秘めている」。アドパニは、基調講演をこう締めくくっている。