和久井です。

サッカー 選手の怪我の頻度は?から始まり、◆サッカー選手 ヘディングが脳に与える影響は?◆サッカー選手 傷害発生率を下げる最も効果的な方法とは?など様々な視点で傷害の発生について考えてきました。

そんなサッカー選手の傷害発生の傾向からどういった選手に怪我が発生するのか、見ていきたいと思います。

今回もサッカーに関連した傷害や病因などの研究を目的とした、FIFAが設立した医学評価研究センターの調査結果を参考にします。(要約)

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全ての怪我の3分の2は足関節、膝関節、頭部、下腿、足に起きている。その内の足関節を捻挫した選手の約半数は過去にも捻挫を経験しており、それも同じシーズン内である場合が多かった。再度捻挫するリスクが3〜5倍に上昇する。重度の怪我の前には、リハビリテーションが不完全であった軽度の怪我を経験している場合が非常に多い。

また捻挫した足関節は不安定であるため、6ヵ月〜1年以上は保護すべきと言われている。プレー復帰を焦ってはならない。過去の捻挫その他の怪我の回復のためのリハビリテーションガイドラインを完全に守ること。

柔軟性の不足や筋硬結は、肉ばなれや腱損傷、肉ばなれの再発の危険因子として挙げられることが多い。サッカー選手は、鼡径部(そけいぶ)、股関節屈筋群、足関節背屈筋群(足指を上向きに持ち上げる筋群)が硬い場合が少なくない。

弛緩性。過去の怪我や遺伝による靭帯弛緩・筋力のバランスが悪い−右と左の強さが違う、大腿四頭筋とハムストリングの筋力のバランスが悪い。

全身の運動技術−膝靭帯は、直立姿勢(膝関節と股関節をまっすぐにした状態)で膝をやや外反させて着地、停止、またはカットインする際に断裂するようである。これは特に女子の場合に言えることである。選手(特に女子)は重心を低くした状態でプレーし、股関節と膝関節を屈曲させることにより着地のショックを吸収する必要がある。
柔らかく静かに着地できたら、地面と接触したショックが吸収されたということである。

持久力が低いことは怪我のリスクとなる。調査では若年層・プロともに、全ての怪我の大部分が試合のラスト10〜15分間に発生していた。トレーニング中の怪我は、選手の調整が不十分なシーズン前に起こる場合が多い。

サッカー技術も怪我の要因である。技術的に低い選手の方が受傷率が高い。技術とフィットネスが最高レベルの選手は、このようなファウルプレーを避ける能力が比較的高い。

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不完全なリハビリテーション、筋肉の硬結、柔軟性の不足、筋力バランス、靭帯の弛緩性、運動技術、持久力不足、遺伝的要素、傷害回避能力などが選手の傷害が発生する原因となっていることが分かりますね。

皆さんも大抵の起因は予想できたことかと思いますが、こうした明確な原因から傷害発生の予防策が見えてきます。

さらにこのことから、昔からよく言われている「サッカーが上手な人は怪我が少ない。」という言い伝えは調査結果からも的を得ているようですね。