一方、いまだ巨人の優勝予想を揺るぎないものとしているのが、ジャイアンツOBの橋本清氏(42)だ。

「実績と成績から見ても控え選手に至るまで、戦力は凄い。OBだからというわけではなく、1度勢いがつけば上がっていくチームです」

 では、開幕ダッシュどころか、チームが低迷している要因は何なのか。

「投手陣のコントロールが定まらず、打撃陣も1本が出ない。1本が出ないからピッチャーに負担がかかる。まさに負のスパイラルです」

 巨人といえば、開幕投手で昨シーズン最多勝(18勝)の内海哲也(29)をはじめ、11勝で新人賞を獲得した澤村拓一(24)、ソフトバンクから移籍組の杉内にホールトン(32)が先発ローテーションに名前を連ねる、いわば“投手王国”でもある。

 しかし、前出の広澤氏によれば、巨人のこれまでのゲームでは、中継ぎ投手が勝敗の鍵を握っていると指摘する。

「最終的に優勝争いになったら、この中継ぎ陣の活躍に勝敗がかかってきます。ところが、巨人の中継ぎ陣は久保裕也(31)のケガや越智大祐(28)の不調など誤算続き。まだまだ厳しいシーズンが続くと思います」

 中でも中継ぎのエース、久保の離脱は、今後の巨人に暗い影を投げかけることとなりそうだ。

 前出・スポーツ紙担当記者が解説する。

「久保は、中継ぎ、抑えとして、一昨季79、昨季67といずれもチーム最多の登板数でチームの中継ぎに欠かせない投手。オフに右股関節の手術を受けましたが、見切り発車で開幕に突入してしまった。印象的だったのは開幕2戦に、澤村からあとを託されたものの失点を重ねた久保は、黒星を献上したばかりか、その後の広島戦といい『昨季のチームMVP』と称される男らしからぬ投球が続き、4月6日には古傷が再発して登録抹消に追い込まれた。『7〜8年もつ体があと1〜2年ぐらいでぶっ潰れるよ』と語るチーム関係者もいるほどです」

 チームの雰囲気も、成績の低迷ぶりを反映してか、元気がないのも気がかりなところだ。前出の江本氏が振り返る。

「ヤクルトとの開幕第3戦、今季初勝利となった試合ですよ。9回、先頭打者(の上田剛史)を打ち取った瞬間、ベンチのコーチ陣を見たらみんな静観していた。中畑みたいに騒げとは思わないけど(笑)、初勝利を引き寄せようと思ったら、もう少し盛り上げても いいでしょ。どこか他人行儀な空気を感じましたよ」

 勢いが感じられないチームほど、くみしやすいモノはない。勝負の世界での鉄則である。まさに、今の巨人のチーム状況を象徴していると言えよう。