[Photo:Vincent West / Reuters]

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J2第6節のベンチ入り平均年齢を探ると、京都、湘南が23歳代で、さらに24歳代の北九州を除く19チームが25歳を超えている。最年長は横浜FCの27.89歳で、なんと三浦知良(45歳)と大久保哲也(32歳)が2トップを組んだ。

もちろんJ2のクラブでも、何人かのベテランが模範的に牽引するのは悪くない。だがベテランの経験に依存するばかりで、上位クラブに売れる選手を育てようとしなければ発展性がない。

例えば、昨年のU17W杯で優勝するなど、育成の成果が上がっているメキシコでは、カテゴリーが下がるほどベテラン選手の出場枠が減らされていく。イタリアのセリエDにも、それぞれ何歳以下の選手を何人起用などの規約が設けられており、使わなければ勝ち点剥奪のペナルティなどが課される。

またドイツやスペインなどはBチームが存在するし、即戦力でない若手は他のクラブに貸し出し積極的に実戦経験を積ませている。どこの国でも2部以下は基本的に若い選手の登竜門と認識され、逆にこうしたクラブは育てて売ることを繰り返し、回転させていくわけだ。

しかしJリーグでは、必ずしも2部が登竜門の役割を果たさず、毎年の順位争いでシナリオが完結してしまう。ハーフナー・マイクや斉藤学などJ2に貸し出されてブレイクする例が出ているのに、一般的にJ1クラブはプロ契約した選手を最初から貸し出そうとはしない。またJ1のユースで育った選手が、他のクラブとプロ契約をするケースも極端に少なく、自分のクラブでトップ昇格できなければ大半は大学へ進ませている。要するに極論すれば、頂点の一部を除けば、優れた才能はプロより大学へと流れる傾向にある。

結局Jリーグ全体が「育成が重要」と声を揃える割には、比較的多くのクラブが育てて売ることに無頓着である。例えば昨年J1から降格した甲府は、一時期平均30歳に迫る高齢チームで戦っていた。そしてJ1残留に固執するあまり、せっかくの財産であるハーフナーや吉田豊の売り時を逸した。その結果今年も6節に限れば、J2全体で4番目の高齢チームで戦っている。

Jクラブは増えた。しかしプロとしてのステイタスは確立されず、逆にアマチュアとの境界が見えにくくなっている。とりわけJクラブのユースがせっかく育てた優秀な素材が、大学へ回らないと実戦を詰めないなら、アカデミーの存在意義にも疑問符がつく。

育成とは、練習をさせておくことではない。またプロの選手を、プロの現場で育てる制度が不在では、とてもプロの成熟は覚束ない。それは各クラブの努力に委ねるのではなく、当然Jリーグが改革を牽引するべきテーマである。