4月からスタートした「ふくらむスクラム!!」(フジテレビ系)。3月に終了した「新しい波16」に出演したお笑い芸人たち6組による、コントありロケありのお笑い番組だ。

 ふくスクは深夜時代のめちゃモテやはねトびを踏襲したスタイルの番組である。この番組でナインティナイン、キングコングの立場にいるのは「オレンジサンセット」。驚くべきはこのコンビ、事務所には所属しておらず、しかも二人とも高校を卒業したばかりの高卒ルーキーなのだ。そんな彼らがなぜ、深夜とはいえフジテレビ制作の番組でメインを張っているのか。

 ふくスクの前番組にあたる波16は、超がつく若手芸人を紹介する番組だった。毎週1、2組が比較的長い時間でネタを披露するシステムは若手芸人が次々と運ばれてくるベルトコンベアーのようであり、ほぼ毎週チェックしていた私でも(だからこそ、であろうか)印象に残った芸人は片手に満たない。そのうちの1組がオレンジサンセットである。

 当時高校生だった彼らのネタは荒削りながらも勢いがあり、おもしろかった。個人的には“坊主アシメ”が頭から離れず、使う機会を探すほどだった。フリートークの手腕もなかなか。なによりお笑いが好きだという情熱にあふれており、例えるなら輝きを秘めたダイヤの原石ようであった。

 いかに素晴らしい原石であろうとも、カットの腕一つでダイヤの価値は変わってくる。ふくスクでの大抜擢により、結果的にフジテレビはオレンジサンセットのカッターを引き受けたことになった。完成されたダイヤを映えないショーウインドウに並べ、売れないからといって放り出すような番組が多い中、非常に喜ばしい事態である。

 ふくスクでのオレンジサンセットはというと、悪くはない。特にボケ・岡田康大の笑いの組み立て方にはルーキーとは思えないほどの安定感、いや安心感がある。見ていて既視感を覚えるほど、とある芸人に酷似しているのだ。

 岡田はナイナイ・岡村に似ている。18歳である彼は子供の頃から岡村を見、憧れてきたのかもしれない。意識した模倣というよりは、すり込みに近い状態で身についたものなのであろう。そして似ているのは小手先のテクニックだけではない。

 11日の放送で岡田は、少年少女・坂口とチキンレース勝負をした。猛スピードで自転車をこぎ、ブレーキをかける。自転車はぎりぎりの所で止まったかに見えたが、急激にかけられた負荷のため後輪が浮き上がり、回転しながら岡田を放り出した。結果、岡田は自転車もろとも海に消えていったのである。技術点、芸術点、ともに満点。私の脳裏に岡村がこれまでに起こしてきたミラクルの数々が蘇った。岡田をポスト岡村と呼ぶにはまだ早すぎるかもしれないが、その資質は十分に持っている。

 今のお笑い界はネタを中心に回っている。それはもちろん良いことであるが、反面、ネタをせずとも笑いが取れる若手芸人が少なくなってきた。そんな中、突如現れた高卒ルーキー・オレンジサンセット。深夜番組のメインという降って沸いたようなチャンスをものにし、その輝きを全国に知らしめることができるだろうか。願わくばその時まで、まっすぐに育ってほしい。

(編集部:三浦ヨーコ)


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