42シーズンにわたってオセールの監督を務め、2005年に引退したギィ・ルー氏がランスの監督として現場に復帰することが決まった。契約期間は2年。

 5日に就任会見を開いたルー新監督は、「ランスからは先週のはじめにいきなり連絡を受けた。竜巻が起こったようなもの。他のクラブからも打診があった。ボルドーもそのひとつ。ランスの2日後だった。この2つのクラブは、真面目で人材面も魅力的。非常に心が動いた」ときっかけを語った。

 結局ランスに決めたのは、クラブ運営の効率と組織力、強固な基盤、熱心なサポーターなどの要因が大きかったという。「非常に結束した温かい家族に入っていくのだから、自分の一派を連れて行くようなことはしない」と現有スタッフと協力し、必要ならば人員を加える考えだ。

 これまで“オセール一筋”で来ただけに、別のクラブでの監督就任は「自分のイメージにとって大きなリスク」という意識がある。しかし「50歳の男が25歳の若い女性に出会ったようなもの」と現場復帰の魅力には抗えなかった。「ランスに来たからといってイメージを崩すとは思わない。しかし結果が悪ければ、そうなるだろう」と語るルー監督だが、「チャンピオンズリーグに出場するためにここに来た、とは言わない。戦う前からまずい約束はしたくない」とむやみに大風呂敷は広げない。

 「50歳の男が」という喩えを用いたが、ルー監督は68歳。65歳以上は監督になれないという連盟の規約があるが、すでにオセール時代に異議を申し立て、特例が認められたことがある。2年前「3シーズン続いた重いシーズンですっかり疲れてしまった」と引退を決意した“老将”を再び目覚めさせたのは、やはり人一倍強いサッカーとリーグ・アンに注ぐ愛情のようだ。ファンにとっては、来シーズンのリーグ・アンに楽しみがひとつ増えたのは間違いない。