'17年より新設された「ヤングジョッキーズシリーズ」(YJS)のトライアルラウンドが、4月より始まった。今年の年末12月27日に大井競馬、28日に中山競馬場で開催されるファイナルラウンド出場に向けて、若手騎手たちがしのぎを削っている。今回は8月、地元でのトライアルラウンドを控える小林凌(岩手)にスポットを当てた。

 '15年、デビュー5戦目で初勝利。1年目は495戦32勝という素晴らしい成績を収め、岩手競馬の新人賞に輝いた。
 「さあ、これから」という'16年夏、まさかの負傷による戦線離脱を経験した。
 「焦る気持ちはありましたけど、とにかく体をしっかり治そうと」。秋には復帰したが、昨年は29勝に終わった。しかし、療養中「精神的に強くなった」ことが奏功しているのか、今年は7月24日現在、すでに昨年の勝ち星に迫る27勝を挙げている。

 競馬好きの父の影響で、小学生の頃から自分も競馬を見るようになり、騎手を目指した。当初はJRAの騎手も目指していたが、倍率も高く、たとえ騎手学校に合格しても卒業できない可能性もある。「少しでも早く騎手になりたくて」との競馬への思いの強さで、地方競馬を目指すようになった。
 テレビで見て「かっこいい。あんなふうにレースをしたい」と思っていた騎手の仕事は「そんな簡単なものではなかった」。デビュー3年目となる今も、「スタート、道中で息を入れるところ、レースの流れを見て判断する能力、まだまだ勉強不足」と、自らの課題を常に考えてレースに臨む日々だ。

 1月に開催された高知競馬『第31回全日本新人王争覇戦』では、第1戦では厳しい展開をしのいで3着、第2戦では積極策が実らず9着となり、総合成績は5位という結果に終わった。
 しかし、初めての高知コースで結果を残したことは自信につながり、一つでも上の着順が欲しい新人戦特有の激しいレースを経験したことは、YJSへの大きなアドバンテージになるはずだ。

 今年の目標は50勝。このままのペースならば、十分射程圏内。また、ここまで通算87勝(7月24日現在)と、通算100勝という数字も見えてきた。とにかく丁寧に一つ一つを乗り越えていけば、結果は自ずとついてくるはずだ。
 そして、その目は年末の大舞台へ。ゆえに、地元のトライアルラウンドは「絶対に負けたくない!」。