全国の企業のうち今春賃上げしたのは80%に達し、中小企業では従業員確保のために賃上げを強いられていることが東京商工リサーチの調べで分かった。

 同社が全国の企業を対象にアンケート調査を実施した。有効回答数は8,097。賃上げを実施したのは6,483社(構成比80.0)で、実施方法を種別でみると、最多は「定期昇給のみ」が2,998社(同37.0%)で、「定期昇給+賞与・一時金の増額」の907社(同11.2%)、「ベースアップのみ」の824社(同10.1%)が続いた。

 資本金別では、1億円以上の企業の83.3%が何らかの形で賃上げを実施したのに対し、1億円未満では79.0%だった。賃上げの理由を資本金別にみると、1億円以上の企業は「業績が回復したため」が29.8%、1億円未満も30.5%と同じ水準だったが、「従業員の定着・確保を図るため」と回答した企業では、資本金1億円以上が55.2%だったのに対し、1億円未満は71.9%と差がついた。  東京商工リサーチでは「中小企業にも賃上げの動きが広まっているが、有効求人倍率が改善し人手不足が顕在化する中で、中小企業の人材確保を目的に賃上げせざるを得ない苦悩も浮かび上がった」としている。