――下期に調整する要因と下値はどの程度をみているか?

 年央以降は調整する見通しだ。一つの要因としてはやはり米国の金融引き締めだ。また、成長戦略についても、今年も同様だったが年央までにはいったん出尽くしになる可能性があるとみている。ただ、過去にみられたような株価が半値になるような調整は見込んでいない。この理由としては、日本株のバリュエーション調整が進み割高感がないことや円高阻止に対する政府・日銀の強いコミットメントがあること、株主を意識した経営にシフトしてきていることなどが指摘できよう。日経平均でいえば1万6000円程度まで下押す可能性はあるが、長期上昇相場の中の踊り場といった位置づけ。年末までには戻り歩調となり、再度1万9000円台に乗せてきそうだ。

――足元で急速な動きをみせている為替だが、来年のドル・円はどう見るか?

 基本的にはドル高の方向だ。ドル・円は年後半に125-130円のレンジに入っていくだろう。来年の米国は年央以降の利上げが考えられる一方、日本は原油安の影響で消費者物価指数の伸びが鈍化する恐れがある。原油安は長い目で見ればプラス材料で物価を押し上げる要因にもなり得るが、短期的にインフレ期待が腰折れするようであれば日銀も追加の金融緩和を実施することもあり得る。欧州でも年前半にECBが社債や国債の買い入れが見込まれており、日米欧の金融政策に大きな違いが出てくることになる。ドルは円やユーロに対して強い展開が予想される。

――来年の注目セクターやテーマは?

 年前半は円安・株高基調が続くと考えており、自動車、機械といった輸出関連銘柄だ。米国の景気が好調なため、米国の比率の高い企業が特に注目される。また、自動車でいえば、燃料電池車(FCV)や自動運転技術関連(自動車電装化)への関心も高まろう。機械では国内の設備投資が改善しているほか、海外も増勢にあるとみており、自動化・省力化関連銘柄は引き続き好調となりそうだ。

 このほかでは食品セクターやサービスに注目している。食品セクターでは、すでに株主還元や経営改革を強化している企業もあるが、キャッシュリッチ企業のコーポレートガバナンス改革に期待している。また、グローバル展開などで収益向上につなげている企業も期待される。サービスは訪日外国人観光客の増加や労働市場の回復や改革が追い風になる。旅行代理店やレジャー、割安となったインターネット株などが含まれる。小売はニュートラルであるが、3月の春闘や4月から前年比の売上高回復が見込まれ、1、2月の下落局面は押し目買いが有効であろう。

 テーマは先に何度か述べている「ROE」や「円安メリット」、「次世代自動車(燃料電池車・自動車電装化)」のほか、ロボット、国土強靭化(PFI等)、リニア中央新幹線、観光立国、地方創生、社会保障改革の恩恵を受ける可能性のあるジェネリック関連などがあげられる。(取材・編集担当:宮川子平)