強豪校が続々と敗退 夏の高校野球埼玉大会はなぜ波乱続き?
早くも第1シード2校が姿を消した埼玉
各地で熱戦が繰り広げられている高校野球の地方大会。関東では埼玉の強豪校が続々と姿を消している。17日で4回戦進出校が出揃う予定だが、すでに第1シードだった2校、浦和学院と聖望学園の名前はなし。春の県大会Vと準Vがいない。さらに夏の甲子園2度出場の花咲徳栄も初戦敗退と予期せぬ展開となっている。
浦和学院は昨春の選抜甲子園大会で当時2年生エースだった小島和哉投手を擁して優勝。しかし、夏の甲子園では1回戦で対戦した宮城・仙台育英高校相手にエースが大乱調で、10−11でサヨナラ負けを喫した。被安打9本、与えた四死球も9個。小島にとって高校生活最後の夏は当時の雪辱を晴らそうという思いもあった。
しかし7月15日。浦和学院は公立校である県立川口高校に1−4で敗れた。「自分の良いときのピッチングを取り戻すことができなかった。悔しいです」と小島投手は涙をぬぐった。経験豊富な投手であってもメカニックに狂いが生じてしまえば、取り返しのつかないことが起きる。コントロールを初回から乱した。先頭打者にデッドボールを与えてしまい、エースに、チームに動揺が走った。
昨年までのチームならば、2年生小島を3年生がカバーすることができた。しかし、今年はそうはいかなかった。エースの動揺は守りにも伝染。エラーにはならなかったが、味方の拙守もあり、初回に2点を取られると、小島投手が自分のリズムで投げられない。4回にも死球などで2点を取られた。
3年連続の甲子園出場を目指した重圧なのか。「今年は小島のチーム」と言われてきた。その大黒柱が揺らげば、打線にも次第に焦りが見えてくる。初球や早いカウントから手を出しでしまい、機能しなかった。春の県大会も制していたが、見えないプレッシャーは相当なものだった。
開幕戦での山村国際の金星が他校にも自信を与える
一方、聖望学園は翌16日に立教新座になんと1−8のコールド負けをした。相手チームの捕手は元巨人軍の吉村禎章氏の愛息が務め、攻守にわたり活躍。阪神・鳥谷敬内野手の母校でもある聖望学園は相手に主導権を握られたまま、夏が終わった。浦和学院も聖望学園も先取点を取れず、焦ったことが敗戦の一因。聖望学園の試合スタイルは先行逃げ切りだった。今回は逆にそれを相手にやられ、浮足立っていた。
何よりも県立川口、立教新座に自信を与えたのは、開幕戦で花咲徳栄を2−1の接戦で破った創部6年目の山村国際高校の奮闘だろう。
元々は女子高だった同校。彼らは花咲徳栄が例年ほどの強くないことと、不慣れなノーシードであることをプラスにとらえた。プロ注目の捕手・堀内汰門選手(3年)を中心に、「絶対に負けない。勝ってやる」という挑戦者の気持ちが、プレッシャーのある相手を上回った。山村国際の勝利が、その後、強豪校と対戦するチームの潜在意識に「自分たちもやれる」という思いを植え付けた。
これで埼玉はどこが勝ち抜いてくるかわからなくなった。プロ注目の上条将希投手をはじめ、控え投手にも好素材がそろう市立川越や、再試合で2試合連続延長戦突入という激闘を制した埼玉栄、春日部共栄などが軸となる。しかし、夏の大会は何が起こるかわからない。金星をつかんだチームがその勢いで頂点へ駆け上がることも考えられる。第1シードのいなくなった埼玉の戦い。目が離せなくなってきた。

