いよいよ、来月19日のフロリダラウンドと、同20日のドイツラウンドの開幕を控え、熱を帯びてきている2013年WBC予選。史上初の予選ラウンドということもあり、国際野球ファンからの注目度は、俄然高まっていると言っていいと思います。今回は、この予選に参戦するチームに関する様々なニュースを、ヨーロッパ勢を中心に国別にお伝えしようと思います。

(1)ドイツ
 史上初めて、ヨーロッパにおけるWBCのホスト国となったドイツは、ようやくオランダとイタリアの2強の影から抜け出すことになった。グレッグ・フレディ監督は、来春の本大会出場に向けて、自らが率いるチームがカナダと対戦できることを、非常に光栄に感じているようだ。最近、地元テレビ局であるTVAオストバイエルンのインタビューでは、彼はチームのロースターについて「ドイツ人としてのバックグラウンドを持つ海外組と、ブンデスリーガのトップ選手たちの混成チームになる」と語っている。

 フレディは最終的にロースターに名を連ねる1人として、地元球団のレーゲンスブルグ・レギオネーレでプレーする、ルドウィグ・グラサーの名を挙げているが、ドイツのパスポートを保有する選手たちと、ブンデスリーガでプレーする選手たちが、それぞれどの程度の割合で選出されるのかについては、今のところ特に言及されていない。関係者筋によると、アメリカでプレーしているドイツ人たちのうち、ドナルド・ルッツ(レッズ)、カイ・グロナウアー(メッツ)、マックス・ケプラー=ロシツキー(ツインズ)の3人は、ロースター入りがほぼ確実とされている一方で、ともにルーキー級でプレーするマルクス・ソルバック(ツインズ)とダニエル・ティーベン(マリナーズ)、そしてフレディとともにジョージア州立大でプレーするマックス・シュミッツに関しては、今のところ選ばれるかどうかは不明となっている。

 レーゲンスブルグのオーガナイザーたちは、ラウンド開催にあたってギリシャを1つの手本にしようとしているようだ。2004年のオリンピックアテネ大会は、野球が五輪競技として行われた最後の大会であり(管理人注:これは間違い。正しくは北京大会)、当時の大会会場となったスタジアムは、現在は同国におけるトップレベルの野球の公式戦で使われている。ドイツ国内で最高の野球場を擁し、またこのようなトップレベルのイベントのホストとして、成功できる実績(2009年W杯)を持つ彼らは、MLBや彼らの提携メディアによって世界中に放送される今回の予選に、また1つ大きな価値を加えることとなった。

(2)イギリス
 大半がイギリスのパスポートを保持しているとはいえ、このチームで主力となる選手たちは、世界中からこのチームでプレーするためにやってくる。彼らが今回背負うのは、メンバーのうちほんの数名が、実際にプレーしたことがある国の国旗だ。最近、オランダでのヨーロッパ選手権に臨む、イギリス代表のロースターが発表されたが、彼らの多くはそのままレーゲンスブルグにも直行する、と見込まれている。

 ただしはっきりさせておきたいのは、今回選ばれた彼らには、期待されているほどの実力はおそらくはないということだ。より頂点に近いと思われる、イギリス系マイナーリーガーたちの代わりに、代表の首脳陣たちは、昨年のヨーロッパ選手権予選(イスラエル)にも参加した、おなじみのメンツを代表に招集した。彼らの多くは、今年の夏はヨーロッパでプレーしているが、それはどちらかというと、ネガティブなニュースであると言えなくもない。むしろ、北米でプレーしている多くの選手たちの方が、この予選に参戦する面々としては、よりふさわしい存在だと言えるだろう。