代表の首脳陣は、おそらくさらに新しい戦力を追加することを強いられるだろう。予選の開幕戦において、エイデン・マクエーリー=エニスが唯一の捕手となる、という状況はあまりにも非現実的だ。代表のリクルーターであるブライアン・エサーリーが、果たして誰にネイビーのユニフォームを手渡し、追加選手としてレーゲンスブルグに飛ばすことができるかは、非常に大きな注目の的となっている。今のところ、エサーリーが声をかける相手として、可能性が高いとみられているのは、クリス・リード、マイケル・ロス、ハミルトン・ベネット、エスティーブンソン・エンカルナシオン、クリス・バーセット、ジョシュ・メイソンという面々だ。

(3)チェコ
 2012年の夏、チェコ代表のアンディ・ベルグランド監督は、代表チームの強化のためにかなりの時間を割いた。この夏の終わりが、彼が率いるチームが今までで最も大きなステージに立つ、ということを意味することを、彼はよく知っていたからだ。資金的に裕福な国内連盟があるわけでも、巨大な競技人口を誇るわけでも、他のチームが持っているような、MLBとのコネクションがあるわけでもないこのチームの下馬評は、お世辞にも高いとは言えない。しかし、彼らは間違いなく懸命に準備を進めている。

 チェコ代表はこの夏、非常に多くの経験を積んだ。参加する選手の多くは、ヨーロッパ諸国のリーグで経験を積み、プラハベースボールウィークで外国のオールスターチームと相まみえた。彼らはヨーロッパ選手権で、WBC予選でも激突するドイツやイギリスとも対戦する。ここで好結果を残すことができれば、レーゲンスブルグでもいい心理状態で戦えるだろう。

(4)カナダ
 彼らはヨーロッパ勢には含まれないものの、それでもニュースとするにふさわしい情報はいくつか存在する。昨シーズン、彼らはW杯で銅メダルを、パンアメリカンゲームズでは金メダルを獲得した。MLBの40人ロースターが、代表メンバーの選考のうえで足かせになるか否かにかかわらず、カナダには依然としてレーゲンスブルグラウンドを容易に制するだけのメンバーが揃っている。そして、今回の予選ラウンド傘下にあたっては、パンアメリカンゲームズ参加時の面々が再び召集されることになるだろう。

 地元カナダのメディアは、今回の予選では大リーガーの参加が見込めないことから、「メイプルリーフ」を誰が背負うのかについての報道を、差し控えるような動きも一部ではあるようだ。とはいえ、これだけは間違いなく言えるだろう。多少の問題はあるにせよ、レーゲンスブルグラウンドを制する筆頭候補は、やはりカナダであるということが。

(5)イスラエル
 地理的にはヨーロッパには属さないながら、イスラエルは欧州野球連盟(CEB)の大会に出場しプレーしている。彼らはMLBとの間に、非常に強力なコネクションを有しており、ロースターを構成するうえでも、こうした絆を活かして強力な顔ぶれを招集しようともくろんでいる。こうした事実こそが、イスラエルをジュピターラウンド突破の最有力候補たらしめている要因だ。

 イスラエル代表は、9月に代表選考のためのトライアウトを実施する予定だ。そして、彼らがおそらく進出することになるだろうと思われる本大会では、現在のMLBにおけるスター選手たちも、代表のユニフォームに袖を通すことになるだろう。イスラエル野球連盟(IAB)は、現在テルアビブに大規模なベースボールコンプレックスを建設するため、莫大な資金的援助を必要としている。今回のイスラエルの躍進は、その夢を叶えるうえでの必須要件と言えるだろう。

(6)スペイン
 移民の力により、強力な代表チームを構成するという意味においては、イベリア半島の雄たるスペインは、イギリスやイスラエルと同様の策をとることになる。彼らは、おそらくカリブ諸国でプレーする選手を、代表チームに数多く取り入れることになるが、その面々がどのような顔ぶれかは、今のところ情報は上がってきていない。ヨーロッパ選手権の存在を考慮すると、数日以内には詳しい情報が上がってくるだろう。その中にはもちろん、ジュピターへと向かうメンバーについてのものも含まれているはずだ。

(7)フランス
 ジェフ・ストッケル率いるプロ集団によって統率されるフランスは、現在ヨーロッパ選手権とWBC予選の双方に向け、準備を進めているところだ。もっとも、フランス国内リーグの所属選手がほとんどを占めるロースターは、アマ選手の独壇場となるだろう。彼らの中には、日本でプレーしたフェリックス・ブラウンとフレデリック・アンヴィのように、海外で経験を積んだ者たちもいるが、ほとんどのメンバーはローカルな顔ぶれで、最高でもチェコと互角にやり合えるくらいの実力となるはずだ。

ソース:http://www.mister-baseball.com/forcasting-world-baseball-classic-qualifiers-european-teams/