――夏フェスは年々増える一方で、今でこそ海でライブをやる機会も増えていますが、キマグレンが4年前に「音霊」を始めた当初はブッキングなど苦労が多かったと思います。有名になることによって、やりやすくなったこともあれば、逆にやりづらくなったこともあるのではないかと想像するのですが。

クレイ:そうですね。毎年、本当に色々と勉強になっている部分があって。自分達のダメな部分だったりもあるんですけど、一年終わって「もうこれだけ勉強したら、来年は大丈夫だろう」と思っていても、やっぱり「うわっ!ここか…」みたいな試練が毎年違う所であったりする中で、ブッキングに関しては年々、はたから見ても段々と良くなってきているとは思うんですけど。本当におかげ様で「キマグレンと一緒に出たい」というアーティストもいたり。でも逆に(笑)、キマグレンが忙しくなってるから、ブッキング自体、結構時間が…。前までだったら、僕らは事務所に会いに行っていたんですけど、そういうことももう、ある程度絞っていく感じになったりね。

――他の人に任せざるを得なくなった部分も、段々と増えてきましたか?

クレイ:そう!任せようと思ったんだけどね、なかなか。結局、任せられなくて。

――それで、こうして逗子と東京とを何度も往復するハメになるわけですね。

クレイ:そうですね(笑)。結局僕らが地元で始めて、その“手作り感”が残っていたから、今までずっと音霊があって。そういうのをいきなり誰かに任せることは出来ないかなぁ、というのを今年、本当に実感したよね?途中まで、引き継ぐつもりでいたんですよ。だけど、本格的に無理だったね。

イセキ:そうですね。結局、入らないといけなくなってしまったんですよね。

クレイ:だって今日も僕らは逗子でアーティストを見て、現場で色々と指示を出してきましたからね。

――少し前まで海で音楽を演奏して、それを聴きにお客さんが集まるという文化はあまり無かったですし、ローカルとかサーフミュージックというと日本より海外のものという印象を受けていたんですけど、最近はサーフミュージックと形容されるアーティストが増えてきた印象を受けているのですが、キマグレンとしては如何ですか?

クレイ:そもそも、キマグレン=サーフロックというわけではなく、むしろサーフロックから遠い所にいるんじゃないか?海でやっているポップ、という。どちらかと言えば、「サーフポップ」と言っていいんじゃないかな?って。

イセキ:僕らは元々、サーフロックを好きでやろうとかじゃなくて、好きな音楽とかルーツがロックだったりレゲエだったり色々なジャンルが好きで。最終的には、コアなものよりポップであること、という所から始まっているので。たまたま地元が逗子で、海がそばにあって、という環境が混ざって、こういう感じになっているので。逆に、そんなに意識はしていないんですよ。

クレイ:「そもそもサーフロックというジャンルは何なんだ?」「なんで、サーフロック?サーフィンしているからサーフなの?」って。「俺はサーフィンするけど、イセキはしないんだけど、俺らはサーフロックじゃないの?サーフポップなの?」みたいな。本当にジャンル的にはすごく難しいけど、色々なことを混ぜているから、ざっくり言うとミクスチャーなんだよね。