「助けてのサインに気づけなかった」父の孤独死に直面した38歳息子の後悔「もうちょっとヘルプを出してほしかった」

高齢者の孤独死は、残された家族に深い後悔をもたらすことがある。都内在住のタケルさん(38)は4年前、地元・富山で一人暮らしをしていた父親を亡くした。父親を発見したのは家族ではなく、郵便物や回覧板がたまっていることを不審に思った町内会長だった。
警察を呼び、緊急連絡先として登録されていた兄に連絡が入り、部屋に入ってみると、クーラーもつけず何も食べずに衰弱した父親が倒れており、救急搬送されたという。
頼りたいけれど子供に心配をかけたくない、そう考えて本音を隠す親は少なくない。一方で、離れて暮らす子供が親に寄り添い続けることも容易ではない。家族だけに頼らず孤立を防ぐことはできないのか。『ABEMA Prime』では、高齢者の孤立問題と、それを防ぐために家族や地域に何ができるかを考えた。
■「助けてみたいなサイン、ちょっとわからなかった」
タケルさんは父親について、「比較的、父とは仲良かったが、性格は寡黙な人で、友達を作るのは苦手な方だと思う」と語る。
親子の連絡は年に数回あり、「夏には帰ってもいい」と声をかけられたこともあった。しかし経済的な事情と、最近会った際には元気そうだったという印象から、その夏は帰省を見送った。「助けてみたいなサインと見られるようなものはわからなかった。夏の1週間ぐらいで、多分、衰弱状態になったんだと思う」。
遺品整理の際には抗生剤や薬、そして借金の存在も判明した。「もうちょっとヘルプを出してほしかった」と、後悔をにじませた。
メンズシェット(シニア男性の居場所づくりを支援する取り組み)に携わる伊藤氏は、「助けを求めることへのハードルの高さ、特に男性はそこが高い。呼び水をどうするかというところで苦労している」と現場の難しさを説明する。高橋氏も「他者を助けたいという人は調査してみると4割から5割ぐらいいる。助けてくれと言われると手助けしたい人はたくさんいる。ただ、どちらかというと助けを求めることへのハードルが高い」と指摘した。
■「ショルダーとショルダー」で生まれるつながり
家族に頼らず、孤立を防ぐことはできないのか。そんな中、いま「メンズ・シェッド」と呼ばれるシニア男性の居場所が 解決策として注目を集めている。趣味やものづくりを通し、集まった人同士、交流を図るための場所だ。
高齢者の孤独・孤立を研究する東北大学講師の伊藤文人氏は、メンズ・シェッドについて、「合言葉は『ショルダーとショルダー』で、男性はフェイスとフェイスで向き合って『あなたどうしたの』というやり取りが難しい。何か直さなきゃいけないものや作らなきゃいけないものを一緒に作業する中でコミュニケーションが生まれ、それが最終的に生きがいややりがい、仲間ができるという居場所だ」。
長年続けた仕事を辞めてから人と話す機会が激減したという利用者に取材したところ、「行くところができたのは楽しい。人と話しすることは絶対生きていく中では必要じゃないかな」と話していた。
ただ、こうした場に来ることさえ拒む高齢男性がいるのも事実だと伊藤氏は認める。「こういう場所に来てほしい人になかなか来てもらえないというジレンマがある。何をやるかも決まってないところに集まる人たちはスキルがあったり自信がある人が多く、スキルがないとか、自分なんかいても何もできないと思っている人たちはどうしても尻込みしてしまう」と語る。小さいコミュニティでは「あの人がいるから私は行かない」という人間関係のトラブルが発生することもある。
タケルさんは、「父はそういう居場所ができても絶対に行かないと思う。決まった人としか話さなくなってしまっている立場なので、孤独をこじらせてしまっている方々をどうやってケアしていくかに興味を持った」との考えを示した。
伊藤氏は「若い世代と高齢者では、孤独を感じる背景もアプローチもかなり違う。世代間交流も大事だが、支援される側という考え方を少し変えた方がいいかもしれない」とした。
(『ABEMA Prime』より)
