《老化スピードは抑制できる》運動だけでは不十分…日本初の研究が示す「ビフィズス菌ヨーグルト×生活習慣」のアンチエイジング効果
「ビフィズス菌BB536」配合のプレーンヨーグルトを摂りながら食事や運動習慣の改善を組み合わせた森永乳業の臨床試験で、老化の生物学的な進行速度が減速する可能性が確認された。ここでいう老化速度とは、DNAの状態を解析することで算出される「生物学的な老化の進行度合い」を指す。食品の摂取により老化スピードの抑制が示されたのは、日本で初めての事例となる。
【写真で見る】老化速度が約2.3%低下…試験期間前後での老化速度の変化
老化速度が2%以上減速
森永乳業は、50歳から74歳のBMI25以上の男性を対象に、ビフィズス菌BB536配合のビヒダスプレーンヨーグルトを1日100g、12週間摂取する臨床試験を実施。この試験では、ヨーグルトの摂取に加え、1日30分以上のウオーキングを週3回以上続けることや、食生活の改善指導も併せて行われた。
森永乳業バイオティクス研究所の小田巻俊孝さんによると、介入群(上記を実行したグループ)では、対照群と比較して老化速度が約2.3%有意に低下し、最大で9.8%低下した被験者もいたという。
「この低下幅は、2年間の25%カロリー制限によって得られる老化速度の低下とほぼ同レベルで、12週間という短期間でも、生活習慣の改善とヨーグルト摂取が老化の速度に影響を及ぼす可能性が示されています」(小田巻さん)
今回の臨床試験では、ビフィズス菌配合ヨーグルトの摂取・運動習慣の指導・食生活の指導を組み合わせて実施した訳だが、運動回数やBMIの変化と老化速度の変化には明確な関連性が認められなかったという。断定は出来ないものの日本初となる今回の試験結果からみると、これらの組合せの中でビフィズス菌が老化速度にメインに働きかけているようにも見受けられる。
ビフィズス菌が免疫細胞の反応をコントロール
今回の発表では、ビフィズス菌が炎症を抑える仕組みも新たに明らかになった。森永乳業の研究の結果、腸内にビフィズス菌が多い人は、免疫細胞が過剰に炎症を起こしにくいことがわかったのだ。
さらに、ビフィズス菌に触れた免疫細胞は、その後、炎症のきっかけとなる刺激を受けても、炎症を起こしにくい傾向にある。
つまり、ビフィズス菌は免疫細胞の反応をコントロールし、体内で過剰な炎症が起きるのを防いでいると考えられる。
近年、体内の「慢性的な炎症」が老化や病気の大きな原因になることがわかってきている。そのため、ビフィズス菌が炎症のバランスを整えることで、老化のスピードを抑え、健康維持の手助けをしてくれるのではないかと期待されている。
腸内細菌叢の乱れや免疫老化や脳に影響
今回の研究発表会では、京都府立医科大学大学院生体免疫栄養学講座教授の内藤裕二さんが、『⽼化研究(Geroscience)最前線〜京丹後⻑寿研究から⾒えてきたこと〜』という基調講演も行った。
内藤さんは、京都府北部の65歳以上の住民1200名を対象に10年にわたって観察する「京丹後長寿コホート研究」を続けてきたことでも有名だ。
質量分析技術の進歩によって、腸内細菌が産生する代謝物(短鎖脂肪酸、トリプトファン代謝物、胆汁酸など)の詳細な解析が可能となり、健康維持における役割が明らかになってきたと、内藤さんは話す。腸内細菌叢の乱れは慢性炎症を引き起こし、これが脳の健康にも関与しているとも説明した。
また、森永乳業取締役で常務執行役員 研究本部長の宮地一裕さんは、ビフィズス菌研究はヒトにとって意義深いものであると語る。
「人のビフィズス菌は、少なくとも1500万年もの間、ヒトの腸内で進化してきました。つまり、ビフィズス菌がヒトの腸内環境に深く適応し、健康維持に何らかの重要な役割を担ってきた可能性があります」(宮地さん)
なるほど、腸内細菌の解明は、ヒトそのものの研究とイコールなのかもしれない。
腸の研究が加速度的に進み、ビフィズス菌と老化速度の関係が1つ明らかになった今回。身近な食べ物で健康長寿が手に入るなら、これほどうれしいことはない。
