ED治療薬の市販化は国内初

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 これまで医師の処方箋が必要だったED(勃起不全)治療薬がついに街中で買えるようになる。多くの男性にとって福音となる一方、購入時のルールや併用を避けたい食材など、知っておくべき注意点も存在する。専門医の解説を元に市販ED薬の使い方を学ぶ。

国内初となる市販のED治療薬に

 エスエス製薬がドラッグストアで購入できる「要指導医薬品」としてED治療薬を販売する。今回、同社が厚労省から製造販売承認を得たのはED治療薬の「シアリス」。7月末に先行販売が始まり、8月末には全国のドラッグストアや薬局、オンラインストアで発売される予定だ。

 くぼたクリニック松戸五香の窪田徹矢医師がその意義を指摘する。

「従来のED治療薬は医師の処方箋がないと買えませんでしたが、シアリスは国内初となる市販のED治療薬となりました。世界100か国以上で使用されてきた実績のある薬で、日本国内でも医療用医薬品として約20年の実績があります」

 シアリスの大きな特徴は、効果が持続する時間が長いことだ。

「PDE5阻害薬という種類の薬で、陰茎の血管を広げて血流を向上させ、勃起を助ける働きをします。バイアグラやレビトラといった他のED治療薬の持続時間が4〜5時間なのに対し、シアリスは最大36時間と圧倒的に長い」(窪田医師・以下同)

 シアリスを服用してから効果が出るまでの時間は早ければ30分程度で、性行為の約1時間前の服用が推奨される。

 さらに食事や、適量であればお酒の影響を受けにくい点も大きなメリットだという。

「バイアグラやレビトラは食事の内容やタイミングによって効果が遅れたり、弱まったりするのに対し、シアリスは食後、食前を問わず服用できます。性行為の前に食事やお酒を楽しみたい人にも向いています」

薬剤師からの指導が必須

 一方で購入の際には注意を要する。

「シアリスは薬剤師による適切な情報提供のもとで購入できる『スイッチOTC医薬品』として承認されたので、購入時には薬剤師の指導が欠かせません。コンビニなどで自由に買うことはできず、薬剤師が常駐するドラッグストアなどで購入することになります」

 実際に購入する際は大きく3つのステップがある。

「まずエスエス製薬のウェブサイトなどで公開されている、服用可否を判断するためのチェックシートに記入し、店頭で薬剤師にチェックシートの結果を提示して服薬指導を受けます。そのうえで服用可能と判断されれば購入できます」

 チェックシートの入力はスマホやタブレットでも可能だ。販売サイトにアクセスして薬剤師とのリモート面談を経れば、オンラインで購入することもできる。

 購入できるのは原則本人のみとなり、パートナーや家族が服用する本人の代わりに購入することはできない。

 医療用医薬品のシアリスは用量の種類として10mgと20mgがあるが、安全性を重視して市販薬として販売されるのは10mgのみ。希望小売価格は4錠で5808円(税込)の予定だ。

激痛が伴うことも

 利点の多いシアリスだが、手放しで夢の薬といえるわけではない。気をつけたいのが食材との食べ合わせや副作用のリスクだ。

「食事の影響を受けにくい薬ではありますが、グレープフルーツとは相性が悪い。グレープフルーツに含まれる成分が肝臓や小腸の酵素の代謝を阻害し、シアリスの有効成分の血中濃度が上昇することにつながります。その結果、激しい頭痛や顔のほてり、めまいや立ちくらみなどの副作用が生じる恐れがあります」

 他の薬との飲み合わせや持病にも注意が必要になる。

「硝酸薬のニトログリセリンや肺高血圧治療薬のリオシグアトなどを服用中の患者がシアリスを飲むと、血管が広がりすぎて急激な血圧低下を招くので併用は厳禁です。重度の心血管系疾患や肝腎障害のある人、著しい低血圧や高血圧の人も同様の健康被害が生じる恐れがあります」

 当然ながら、用法・用量を守らない服用も危ない。

「飲みすぎると頭痛やほてりなどの副作用が強まるだけでなく、激痛を伴う勃起が数時間以上も続き、陰茎組織が損傷して回復不可能なEDになるリスクがあります。説明書にある用法や用量は必ず守ってください」

 薬剤師の指導が必要とはいえ、これまでより格段に手に入れやすくなるED治療薬。だが窪田医師は、市販化以降も引き続き積極的にクリニックでの問診を受けてほしいと語る。

「EDの背後には糖尿病や高血圧などの生活習慣病が隠れているケースが多いですが、クリニックでの診察や処方によりそうした根本原因を早期発見できます。またシアリス以外にもバイアグラやレビトラなど患者の体質や生活スタイルに合わせた薬を提案でき、効果や副作用も医師が管理できる。EDに悩む人はまずクリニックの受診から始めることも選択肢に入れてください」

 利点とリスクを正しく知って、市販ED薬を利用したい。

※週刊ポスト2026年7月10日号