大塚国際美術館に新展示の「ギターを弾く女」 額縁を3Dプリンターで製作【徳島】
鳴門市の大塚国際美術館に3月、オランダの画家フェルメールの「ギターを弾く女」という作品が、新たに展示されました。
その展示作品の額縁は、地元出身の阿南高専の学生が3Dプリンターで製作しました。
その学生を取材しました。
世界の西洋名画を原寸大に再現した陶板画を鑑賞できる、鳴門市の大塚国際美術館。
3月13日から新しく公開されているのが、オランダの画家、ヤン・フェルメールが描いた「ギターを弾く女」の陶板画です。
(大塚国際美術館 学芸広報部・原田早 係長)
「全体的に明るい色彩で、女性の幸せそうな雰囲気が伝わる作品。ギターの弦も振動している様子が描かれているので、そこも注目していただきたい」
(来館者は)
「すごく目を引かれるような感じがします」
「明るいなという印象。真珠の耳飾りの少女が青なので、黄色が反対の色で印象的」
17世紀オランダでは、画家たちが愛を表現するために楽器を描いていて、この作品にも当時流行し始めたバロック・ギターが登場しています。
「ギターを弾く女」の展示に合わせて、1階のレストラン・ガーデンでは、限定のフェルメールランチが!
フェルメールの故郷・オランダで使われるスパイス、ナツメグが香る阿波尾鶏のローストチキンです。
(記者)
「阿波尾鶏の皮がパリパリとしていて、中は身がぎゅっと締まっていて美味しいです」
ランチのほかには限定のスイーツも!
5月31日まで楽しめます。
陶板画やランチももちろんですが、今回注目するのはこの額縁!
実は…阿南工業高等専門学校の学生が、3Dプリンターで製作しました。
阿南高専5年の尾山凌斗さんです。
(阿南高専・尾山凌斗さん)
「卒業研究のリストがある中で、これ面白そうだなと思って選んだのと」
「鳴門出身で大塚国際美術館っていう鳴門の美術館で、実際に物が残せるならいい経験になるなと」
阿南高専の機械コースに通う尾山さんは普段、機械やロボットの設計などを学んでいます。
その部品作りに使う3Dプリンター。
「CAD」という設計用のソフトが得意なことを活かして、挑戦しました。
(記者)
「この額縁どのように作られたんですか」
(阿南高専・尾山凌斗さん)
「この額縁は3Dプリンターでパーツごとに分けていて、タテが5分割、横が4分割で出来ています」
(記者)
「持ってみたら木の質感と似ている気がします」
額縁は、植物由来のプラスチックに木の粉が混ざった素材を、220度の温度で溶かして設計図通りに組み立てます。
17世紀のオランダの邸宅に飾られていた額縁は、細かな装飾が特徴です。
いつも尾山さんが作る機械用の部品はシンプルな形が多いですが、今回は勝手が違います。
(阿南高専・尾山凌斗さん)
「こっちの波の部品だと、一つ一つ角度が変わってくるので、コピー&ペーストが出来なくて」
「ここに多面体の図形があると仮定して、模様を一つ一つ面に対して作っていった」
7月頃から研究をはじめ、設計から完成までにおよそ8カ月かかりました。
(阿南高専・尾山凌斗さん)
「小さい部品は17時間、大きい部品だと25とか26時間、丸一日かかります」
「毎日学校行って出来ているのを祈りながら機械を4つ動かすんですけれど、一日に1パーツか2パーツ印刷できれば進んだなあと」
「かなり印刷ミスも起こるので」
プラスチックの薄い層を225回積み重ねて作るため、少しでも座標がずれると繊細な模様になりません。
(阿南高専・尾山凌斗さん)
「模様が斜めになって、ここを覆いかぶせると比較的目立たなくなる。垂直に近くなると、逆に繋ぎ目が目立ってしまうので」
出来上がった額縁には、苦労した波模様が綺麗に浮き上がっています。
試作を重ねて工夫した繋ぎ目は、パーツを組み合わせて作ったと感じさせない仕上がりです。
この日、大塚国際美術館の担当者が受け取りに来ました。
(大塚国際美術館 担当者)
「おーイメージ付きますね『良い感じ』『ありがとうございました』」
「確かに預かりました」
(阿南高専・尾山凌斗さん)
「大塚国際美術館に飾られるとか、想像が湧かないですね」
迎えた当日。
フェルメール・ギャラリーに新しく、「ギターを弾く女」が展示されました。
その周りを飾るのは尾山さんが作った額縁です。
美術館の照明で浮かび上がる装飾が、作品を引き立てています。
(来館者は)
「いやすごいですね、重厚感があって。絵にぴったり似合っていていいと思います」
「ちゃんと木の額縁に入れているのかなと思って、プラスチックには見えなかった」
(阿南高専・川畑成之 教授)
「感動」
「卒業までに出来て良かった。自分の地元にずっと飾られるから」
(阿南高専・尾山凌斗さん)
「地元に」
(阿南高専・川畑成之 教授)
「自慢できるよ」
(阿南高専・尾山凌斗さん)
「自慢できます」
大塚国際美術館で鑑賞できるフェルメールの陶板画は、今回の展示で12点になりました。
地元出身の学生の研究と3Dプリンターの技術で再現されて、フェルメールの世界をより身近に感じられます。
