田中恒成(左)はプメレレ・カフ(右)に敗れ、王座陥落した【写真:中戸川知世】

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WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ

 ボクシングのWBO世界スーパーフライ級(52.1キロ以下)タイトルマッチ12回戦が14日、東京・有明アリーナで行われ、王者・田中恒成(畑中)が同級5位プメレレ・カフ(南アフリカ)に1-2の判定負け(114-113、113-114、113-114)した。今回が初防衛戦、カフは世界初挑戦。13日を含め、日本初となる1イベント7つの世界戦が行われる。戦績は29歳の田中が20勝(11KO)2敗、29歳のカフが11勝(8KO)3分け。

 田中は序盤からスピードで上回り、優勢に展開。鋭いパンチで組み立てた。しかし、5回に右アッパーを放ったところで右フックを被弾。先制ダウンを奪われた。会場に悲鳴が響き、客席は「恒成」コール。以降はボディーを軸に反撃し、ポイントを獲り返すために終盤まで打撃戦に出たが、その分被弾も増えた。最終12回は残り40秒から猛攻。悲鳴と怒号まじりの声援を受けながら戦い抜いた。勝負は判定へ。カフの手が上がり、無敗の挑戦者に屈した。

 田中は2月、同級王座決定戦でクリスチャン・バカセグア(メキシコ)に3-0で判定勝ち。2020年大晦日に井岡一翔(志成)に敗れて以来、3年2か月ぶりの世界戦で4階級制覇を達成した。日本人の4階級制覇は井岡、井上尚弥の過去2人だけ。しかも、元世界6階級制覇王者オスカー・デラホーヤ(米国)の24戦を上回る世界最速21戦目での達成だった。

 7月にジョナタン・ロドリゲス(メキシコ)と初防衛戦を行う予定だったが、前日計量でロドリゲスが体重超過。試合中止となり、心身ともに仕上げた過程が水の泡になっていた。

 前戦からは前後左右に多く動くボクシングを徹底し、スタミナとパンチ力強化に励んだ。相手のカフは「Truth(本物)」の愛称を持つサウスポー。複数の地域タイトルを獲得し、世界初挑戦を迎えていた。

 スーパーフライ級は、7月に井岡を倒したフェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)がWBA&IBF王座に君臨。WBC王座をジェシー・ロドリゲス(米国・帝拳)が保持する。暫定王座にはWBAにデビッド・ヒメネス(コスタリカ)、WBCにペドロ・ゲバラ(メキシコ)が就き、田中は4団体統一を目標に掲げていた。

(THE ANSWER編集部)