『潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官』©︎日本テレビ

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 父親の仇である犯罪集団「幻獣」のテストにパスし、無事に内部に潜入することができた貴一(竜星涼)と優貴(八木莉可子)の兄妹。しかし早速、幹部である玄武(吹越満)から“警察のイヌ”ではないかという疑いをかけられてしまい、絶体絶命のピンチに陥る。10月12日に放送された『潜入兄妹』(日本テレビ系)は第2話。同じスタッフ陣が手掛けた『占拠』シリーズも毎話のように急展開――もとい、主人公にピンチがたびたび訪れていたけれど、同じ世界線の今作も同様のようだ。

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 県警の入間(及川光博)から“保険”として渡されていた捜査資料を差し出すことで、なんとか急場をしのぐことに成功した貴一と優貴。玄武の信頼を得るために出された条件は、3日以内に5,000万円を稼ぐこと。失敗したらハコ(=チーム)全員の命はないという。そこでハコ長の高津(入山杏奈)はオレオレ詐欺を計画するのだが、「もっと稼げるヤマ」としてインターネットくじの賞金を詐取する計画を立案する貴一。そして内部の人間を引き込むためと、くじの運営会社のチーフプログラマーに接触するのである。

 という計画は表向きで、本当のターゲットは別の詐欺師の男。ホテルのラウンジで投資詐欺を行なっている名取という詐欺師に、インターネットくじ詐欺で6億円を得るという大きな計画の存在をわざと聞かせ、計画に加担させることで彼から巨額の現金を得るというのが貴一の企てた流れだ。あえてそうする理由は、貴一たちの父親がかつて潜入をしていた際に決めていた「騙すのは悪人だけ」というルールに則るため。いわば、詐欺師を騙す詐欺師、“クロサギ”といったところだ。

 撒いたエサにうまく釣られてくれて、1億円をゲットしたところでおさらばと思いきや、優貴が扮装していたチーフプログラマーの本物がSNSを更新したことによって、偽物だとバレてしまうピンチが訪れる。しかしそれを元警察官である貴一のフィジカルをもってまんまと抑え込み、次のシーンではハコの面々で祝杯をあげている。この辺りの淡々とした流れからして、一件一件の“クロサギ”行為はさほど重要なものではなく、あくまでも貴一たち兄妹が幻獣の幹部たちに近付くきっかけのひとつに過ぎないことを示しているかのよう。

 本当のピンチが訪れるのは、1億円を騙し取ってから。街を歩いていた貴一と優貴は拉致されてしまい、目を覚ますと玄武と朱雀が姿を見せる。ここで2人目の“顔出し”となる朱雀。伏せられていたそのキャスティングが白石聖だということは、それよりも前のシーンで声だけ登場した時点で多くの視聴者が気付いたことだろう。玄武役の吹越満といい、幻獣の幹部メンバーはいまのところ、しゃべり方や声に特徴をもった役者がつづいている。

 いずれにせよ、白石といえば『新空港占拠』(日本テレビ系)で指揮本部に潜入していた“獣”の一味・岩槻澪を演じていた。今作が『占拠』シリーズと同一ユニバース化にあるという前提を踏まえれば、朱雀=岩槻澪ということになるのだろうか。現時点で朱雀の素性までは明らかにされていないが、一応岩槻は『新空港占拠』の終盤で逮捕されている。占拠に直接加わったわけではなかったので、罪がさほど重くないとも考えられ、この辺りの辻褄がどう合わせられるのか。“潜入していた”キャラクターが、作品を越えて“潜入される”側になるということになれば、なんとも興味深い因果である。

(文=久保田和馬)