(CNN)バイデン大統領が再選に向けた出馬を断念してから2カ月半の間に、ハリス副大統領は民主党の大統領候補指名を素早く獲得し、2008年以降最も熱狂した民主党全国大会の主役を務め、数億ドルの新たな選挙資金を調達。今年初めのバイデン氏の世論調査の数字を追い越した。

しかし民主党議員らはハリス氏の運命に不安を募らせている。貴重な資源をどこにどのように配分するかといういつもの議論が浮上するにつれ、ハリス氏の選挙活動は行き詰まっているという感覚が高まっている。

ハリス氏の顧問らは世論調査を公に否定することが多く、選挙戦は接戦であり、選挙日までその状態が続くだろうと認めている。激戦州での複数回にわたる積極的な選挙活動と、バイデン氏の撤退の記憶を拭い去る討論会を経ても、状況はほとんど、あるいはまったく変わっていない。予備選を勝ち抜くことなく主要政党の大統領候補が誕生したのは60年ぶりだ。そのハリス氏は一部の人々にとって依然として疑念の種となっている。

ハリス陣営に近い情報筋は「人々は不安を抱いている。世論調査が拮抗(きっこう)していることは分かっている」と語った。「我々の多くは16年のことも思い出している。いつでも悪い方向に転びかねないことは分かっているし、まだ記憶も生々しい」

この不安は、選挙戦が僅差(きんさ)である単純な事実からも生じている。ハリス陣営は、特に激戦が予想される7州での支持は互角か誤差の範囲内とみている。また、当選に必要な270人の選挙人獲得に向け、いわゆる「ブルーウォール(青い壁)」や「サンベルト(太陽光地帯)」と呼ばれる激戦州を押さえての複数の道筋があるという話もあるが、現時点ではどの道も保証されているようには見えない。