米政権、つながる車から中国製ソフト排除へ 安全保障懸念に対応

写真拡大

David Shepardson

[ワシントン 23日 ロイター] - 米商務省は23日、安全保障上の懸念を理由に、インターネットに常時接続するコネクテッドカー(つながる車)や自動運転車に中国製のソフトウエアやハードウエアの搭載を禁止する措置を発表した。

今後数年間で、米国および外国の主要自動車メーカーに対し、国内で販売する自動車から主要な中国製ソフトウエアやハードウエアを排除させる。

バイデン政権は、中国企業がコネクテッドカーを通じて運転者やインフラに関するデータを収集したり、インターネットやナビゲーション・システムに接続された自動車を外国から遠隔操作される可能性を懸念。ホワイトハウスは2月、潜在的な危険性について調査を命じた。

この措置は、中国の自動車メーカーが米国の道路で自動運転車の試験をできないようにし、ロシアなど他の米国の敵対国が製造した車両ソフトウエアやハードウエアにも適用される。

ソフトウエアの禁止は2027年モデルから、ハードウエアの禁止は30年モデルまたは29年1月から実施する。

商務省はこの提案について30日間の意見公募を行い、来年1月20日までに最終決定したいとしている。

レモンド商務長官は「外国の敵対勢力が自動車製造向けのソフトウェアを開発すれば、車両の監視に利用できるほか、遠隔操作が可能となり、道路上の米国人のプライバシーや安全が脅かされる」と指摘。「極端な状況では、外国勢力が米国内で運行している全ての車両を同時に停止もしくは制御し、衝突事故を引き起こしたり道路を封鎖したりする可能性もある」という認識を示した。

サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は記者会見で、中国が米国の主要インフラにマルウエアを事前に仕掛ける証拠は十分にあるとし、米国では「数百万台の車両が走り、車両寿命が10─15年であることを踏まえると、混乱や破壊行為のリスクは劇的に高まる」と述べた。

中国外務省の報道官は、中国は米政府に対し「市場原理を尊重し、中国企業にオープンで公正、透明かつ差別のないビジネス環境を提供するよう求める。中国は断固として自国の正当な権利と利益を守る」とした。

ゼネラル・モーターズ(GM)、トヨタ自動車、フォルクスワーゲン、現代自動車などの大手自動車メーカーが所属する米国自動車イノベーション協会は、ハードウエアやソフトウエアの変更は時間が要すると指摘。コネクテッドカーのハードウエアとソフトウエアは中国を含む世界各国で開発されているとしたが、中国製部品が米国モデルでどの程度使用されているかについて具体的な説明はしていない。