9月シリーズは怪我で選外となった冨安。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大

 北中米ワールドカップのアジア最終予選に挑んだ日本代表は、9月5日に埼玉スタジアム2002で開催された中国戦に7−0、10日に敵地で行なわれたバーレーン戦に5−0で圧勝した。

 森保ジャパンはこの2戦で右に堂安律、左に三笘薫というアタッカーをウイングバックに置く攻撃的な3−4−2−1を採用。このシステムが機能し、ゴールラッシュを呼び込んだ。

 ともに故障中の冨安健洋と伊藤洋輝を怪我で欠くなか、3バックは右から板倉滉、谷口彰悟、町田浩樹で構成。相手にチャンスをほとんど作らせず、安定した守りを見せた。

 今回感じたのは、冨安の招集の仕方だ。とりわけアーセナルに移籍以降は怪我が絶えず、長期離脱も少なくない。プレミアリーグの強度や、ポジション争いが厳しいが故に常に100パーセントを出さざるを得ない状況がそうさせているのかもしれない。

 冨安のずば抜けた能力の高さは言うまでもなく、ディフェンスリーダーとしても頼もしい。ベストコンディションならば、鉄壁のDFだ。
【画像】日本代表のバーレーン戦出場16選手&監督の採点・寸評を一挙紹介。4人が7点の高評価。MOMは2G1Aの9番
 ただ、今の日本なら冨安がいなくてもアジア最終予選を十分に勝ち抜ける。今シリーズでも不在を感じさせなかった。そもそも圧倒的に攻め込んでいるため、ピンチ自体が少ないし、他のディフェンス陣のパフォーマンスも良好だ。

 肝心のワールドカップで最大限に力を発揮できるよう、日本代表の招集は、重要な一戦のみにするなど限定的でいいのではないか。少なくとも、消化試合だった6月のW杯二次予選に呼ぶ必要はなかったと思うのだ。

 もちろん、責任感の強い選手だけに、本人がよしとしないかもしれない。ただ、日本が本当にワールドカップで優勝を目ざすのであれば、冨安がベストコンディションで、全試合に出場しなければならない。「一戦必勝」と言えば聞こえはいいが、先を見据えるフェーズに来ている。

 それだけ重要な選手だからこそ、日本代表の招集は慎重にしてほしい。2試合12得点・0失点の9月シリーズを見て、そう感じずにはいられなかった。

取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部)