BYDとヒョンデの販売台数はBYDに軍配……だがヒョンデに焦りなし! 裏にあるBYDとヒョンデのまったく異なる日本向け戦略とは
この記事をまとめると
■中国のBYDと韓国のヒョンデは2024年の上半期で新車登録台数に大きな開きがある
■BYDは充実したディーラー展開やCMなどで日本市場に対する意気込みを感じる
■ヒョンデは次世代ビジネスの可能性を探る場として日本市場を捉えている
BYDがヒョンデよりも新車登録台数が多い!
EVの新たなるトレンド、中国メーカーのBYDと韓国メーカーのヒョンデ。新車登録台数を見ると、これら2ブランドではかなりの差がある。日本自動車輸入組合(JAIA)によると、直近2024年7月ではBYDが207台に対して、ヒョンデは45台。今年1〜7月までの累計台数では、それぞれ1291台と388台という結果である。
この差をどう見ればよいのか?
まず、モデルは、BYDが2023年1月の「ATTO3」を皮切りに、同年9月に「ドルフィン」、年が明けて2024年1月に「ATTO3」のアップグレード、そして同年6月から「シール」と続々と市場導入してきた。
こうした3モデル展開について、BYDオートジャパンは2022年7月30日〜8月28日に横浜赤レンガ倉庫で開催されたイベントに車両を展示して広く告知していた。
その際、「ATTO3」の公道試乗会も実施。一般ユーザーはもとより、日系自動車メーカーの開発部門関係者や輸入車ブランドの販売店関係者などが「中国製EVの実力とはどんなものなのか?」と試乗していたことを思い出す。
その後、販売店についてもさまざまな事業者が、日本における新規ビジネスに対する期待を込めて、新車ディーラー店舗を開設してきた。
2024年に入ってからは、ATTO3のアップグレードとシール導入を機に、改めてBYDブランドの認知度を上げるべく、全国各地で販売促進イベントを展開している。
また、人気女優を採用したテレビCMによって、BYDブランドを日本で身近な存在にしていこうという意気込みを見せている。
気になるのは、リセールバリューについてだ。BYDオートジャパンとしては、ATTO3がアップグレードしたタイミングで認定中古車制度の拡充させ、円滑な買い替え需要を狙っている。
ヒョンデはオンライン販売に特化している
一方、2009年に日本市場から撤退していたヒョンデは、2022年に日本再上陸。その事業方針発表で、日本国内で販売するのはEVと燃料電池車のみで、かつオンライン販売だけという点がメディア各社で当時、大きく取り上げられた。
ヒョンデはグローバルではガソリン車から各種電動車まで幅広いモデルラインアップがあるが、ユーザーの目が厳しい日本市場に再上陸するにあたって、特化したブランドを目指すため、あえてEV及び燃料電池車のみでの対応とした。
オンライン販売についても、特化したブランド戦略の一環だ。より多くの台数を売ることは当然必要なのだが、ヒョンデとしては日本で次世代ビジネスの可能性を深掘りしたいという意思がある。
主要導入モデルの「IONIQ 5」は特徴的なデザインであり、ハイパフォーマンスな「N」はサーキット走行で多くのユーザーの度肝を抜くシロモノである。
このように、BYDとヒョンデ、それぞれの日本市場における事業の捉え方に違いがあるように感じる。