“学歴のある人お断り”の転職サービス。「大学時代に逮捕されたこと」が“拝金主義だった”創業者の転機に
世にも変わった転職サービスがある。バトルクライ株式会社が提供する「カブキモノキャリア」だ。中卒・高卒者に限定して、転職の支援を行っている。さらに同社ホームページには、「学歴がない人だけが、無双できる転職」との文字が目を引く。就労が一般に高学歴者に有利であることは論を俟たないが、この逆説的なキャッチフレーズの意図は何か。同社CEO・仲田勇輝氏(27歳)に話を聞いた。
◆大学時代に逮捕されたことが転機に
仲田氏は開口一番、「弊社は“学歴のある人お断り”なんです」といたずらっぽく笑った。世の潮流にあえて抗う“逆張り”かと思えば、そう単純な動機でもない。サービス提供の原動力となったのは、仲田氏が経験した大きな過ちだ。
「私には、特定商取引法違反で逮捕された過去があります。大学生だった当時、営業代行の会社の副社長をしていた私は電力会社の顧客に対して不実告知を行い、別の電力会社と契約させるなどしました。組織も60名程度と大きく、マニュアル化して営業を行っていたため、地元ではそこそこ知られる存在でした。結局、私は逮捕され、刑事裁判で懲役1年、執行猶予3年の判決を言い渡されました」
◆留置場で会った「顔に刺青を入れた男」との交流
現在、転職サービス「カブキモノキャリア」には3万5000人ほどの中卒・高卒者が登録しているという。仲田氏自身は西の名門・同志社大学に入学した学歴社会の勝者だが、「学歴がない人」への転職支援にこだわるのはなぜなのか。
「逮捕経験者の私が言うのもおかしいですが、ずっと優等生として歩んできました。中学校、高校時代は学年で一番でしたし、いわゆる名門私立大学へ入学しています。
先ほどお話した犯罪行為で逮捕された際、留置所で出会った人がいたんです。私と年齢の近い彼は、顔に刺青を入れていて、見るからに危なそうな男でした。彼は受け子をやって3回目の再逮捕でしたが、当然、私にとっては初めての逮捕。かなり憔悴していたのでしょう。心配したのか、話しかけてきてくれたんです。それからお互いのいろいろな身の上話もして、彼がとても苦労した境遇で生きてきたことを知ったんです。逮捕されてすぐの頃は追い詰められていて、『死のうかな』とさえ思っていた私ですが、彼と話をすることで心が暖かくなっていくのを感じました。
正直、これまで生きてきた環境のなかに、彼のような人はいませんでした。そこでわかったのは、環境に恵まれていないだけで、根っこの部分はとても優しい人が世の中にはたくさんいて、まだ社会がそれを活かしきれていいないのだということです」
◆「裕福なクラスメイト」が妬ましかった
逮捕の前後で人生が大きく転換した。そう語る仲田氏の、もっとも大きな変化はこんな点だ。
「逮捕以前は、簡単にいえば拝金主義だったと思います。資本主義社会のなかでは金を持っている人間こそが正義なのだという、極端な考え方に陥っていたんです。おそらくそれは、住んできた地域が都会だったこと、通っていた学校に裕福な生徒が多かったことが原因で、自分よりも恵まれているように感じる同級生が多かったからだと思います。
私自身、貧困家庭出身というわけでもないのに、金に対する執着があったように思います。たとえばロレックスをして大学の授業に来るようなクラスメイトを見ると、妬ましく思っていました。学費を自分で調達していた自分と無意識に比較して、劣等感があったのかもしれません。
しかし、自己の利益だけを追求して仕事をしていても、残るものは何もありませんでした。当たり前ですが会社は倒産し、仲間だと思っていた人のなかには離れていった人も多くいます。それらは、全部自分の歪んだ考え方が原因だったとわかったんです」
◆大学時代に逮捕されたことが転機に
「私には、特定商取引法違反で逮捕された過去があります。大学生だった当時、営業代行の会社の副社長をしていた私は電力会社の顧客に対して不実告知を行い、別の電力会社と契約させるなどしました。組織も60名程度と大きく、マニュアル化して営業を行っていたため、地元ではそこそこ知られる存在でした。結局、私は逮捕され、刑事裁判で懲役1年、執行猶予3年の判決を言い渡されました」
◆留置場で会った「顔に刺青を入れた男」との交流
現在、転職サービス「カブキモノキャリア」には3万5000人ほどの中卒・高卒者が登録しているという。仲田氏自身は西の名門・同志社大学に入学した学歴社会の勝者だが、「学歴がない人」への転職支援にこだわるのはなぜなのか。
「逮捕経験者の私が言うのもおかしいですが、ずっと優等生として歩んできました。中学校、高校時代は学年で一番でしたし、いわゆる名門私立大学へ入学しています。
先ほどお話した犯罪行為で逮捕された際、留置所で出会った人がいたんです。私と年齢の近い彼は、顔に刺青を入れていて、見るからに危なそうな男でした。彼は受け子をやって3回目の再逮捕でしたが、当然、私にとっては初めての逮捕。かなり憔悴していたのでしょう。心配したのか、話しかけてきてくれたんです。それからお互いのいろいろな身の上話もして、彼がとても苦労した境遇で生きてきたことを知ったんです。逮捕されてすぐの頃は追い詰められていて、『死のうかな』とさえ思っていた私ですが、彼と話をすることで心が暖かくなっていくのを感じました。
正直、これまで生きてきた環境のなかに、彼のような人はいませんでした。そこでわかったのは、環境に恵まれていないだけで、根っこの部分はとても優しい人が世の中にはたくさんいて、まだ社会がそれを活かしきれていいないのだということです」
◆「裕福なクラスメイト」が妬ましかった
逮捕の前後で人生が大きく転換した。そう語る仲田氏の、もっとも大きな変化はこんな点だ。
「逮捕以前は、簡単にいえば拝金主義だったと思います。資本主義社会のなかでは金を持っている人間こそが正義なのだという、極端な考え方に陥っていたんです。おそらくそれは、住んできた地域が都会だったこと、通っていた学校に裕福な生徒が多かったことが原因で、自分よりも恵まれているように感じる同級生が多かったからだと思います。
私自身、貧困家庭出身というわけでもないのに、金に対する執着があったように思います。たとえばロレックスをして大学の授業に来るようなクラスメイトを見ると、妬ましく思っていました。学費を自分で調達していた自分と無意識に比較して、劣等感があったのかもしれません。
しかし、自己の利益だけを追求して仕事をしていても、残るものは何もありませんでした。当たり前ですが会社は倒産し、仲間だと思っていた人のなかには離れていった人も多くいます。それらは、全部自分の歪んだ考え方が原因だったとわかったんです」