「辞退も考えた」少女への性的暴行で服役後の参戦 蘭選手が涙の告白「妻や子どもを傷つけるのは行き過ぎだ」【パリ五輪】

写真拡大 (全2枚)

パリ五輪期間中は取材対応を認められなかったファン・デベルデ。(C)Getty Images

 五輪参加で世界的な反発を受け、大ブーイングを浴びたオランダ人は、複雑な胸中を打ち明けた。現地時間8月13日にオランダ公共放送『NOS』のインタビューに応じたパリ五輪・男子ビーチバレー代表だったスティーブン・ファン・デベルデだ。

【関連記事】少女への性的暴行で服役→参戦の蘭選手に止まなかった“野次” 16強敗退後に相棒が心境告白「参加できてよかった」【パリ五輪】

 ファン・デベルデは19歳だった2014年にFacebookを通じて知り合った当時12歳の英国人少女に対して性的暴行に及び逮捕。そして16年に英国の裁判所から禁固4年の実刑判決を受けていた。

 その後にオランダへ身柄を移された彼は、わずか1年間の服役を終えると、釈放後に競技復帰。18年からは国際大会にも出場し、マシュー・イマーズとのペアでパリ五輪の出場権も獲得。参加に向けてはオランダ・オリンピック委員会から「選手村への入村禁止」と「メディアとの接触禁止」を厳命。徹底した対応策が設けられた。

 しかし過去の過ちからファン・デベルデには非難が殺到し、出場禁止を求める請願には約10万人が署名。さらに大会期間中には試合会場で大ブーイングを浴び続けた。

 五輪で16強に進出しても、批判は絶えなかった。そんな“逆境”下でのプレーについて「(出場を)辞めることも考えたか?」と問われたファン・デベルデは「もちろん、それは考えた」と吐露。さらに容赦のないブーイングについても「責任転嫁しても意味がないけど、僕らのプレーに影響は与えた可能性は確かにあるよ」と振り返った。

 また、英国のタブロイド紙で自身の妻との写真が掲載され、過去の過ちを追及されたことを問われた30歳は、「それを目にした時に、耐えられなくて泣き崩れたんだ」と思わず涙。そして、こう続けている。

「確かに自分は10年前にやってはいけないことをした。だから、(批判は)受け止めなければならない。でも、マシュー(ペアを組んだイマーズ)であれ、妻であれ、子どもであれ、周りの人を傷つけるのは、本当に行き過ぎだと感じた。それは僕にとって本当に度を越えたものだったし、そこまでする価値があるのかと考えた瞬間だった」

 さらに10年前の事件を「人生最大の過ち」と語るファン・デベルデ。しかし、現役引退については「ここで、そんなことはしたくない。僕や家族をいじめたり、追い出したりできる力を他人に与えるつもりはない」と断言。今後も競技を続けていく意向を明らかにしている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]