クレーム客やカスハラ客はこういう快適な食事場所を乱す目的に来られる人だから、そういう人達に無理難題を要求されても、店として毅然とした態度で、対応しないといけない。客とは、基本的にわがままなもので、日本は特に「お客様は神様です」とお客さんを持ち上げ迎合してきたこともあり、お金を使ってやるんだという態度の大きいお客さんを作ってきたのである。

 30年以上にも渡るデフレで、お店は安く提供して当たり前といったお客さんの意識が浸透する中で、少しでも他店より多くのお客さんを集客したかったから、何事においても低姿勢な店が増えてきたのである。カスハラ対策に力を入れる企業やそれを後押しする法整備を機会に店と顧客と双方が変わってほしいものだ。

◆不測に事態に備えた対策を!

 好ましくない客の来店に備えて、事業保険に加入する店は多い。顧客からの暴力や悪質なクレームなどから店や従業員を守ってくれる保険に加入していれば安心だろう。

 筆者も経営している時は店舗総合保険に入りリスク対策を講じていた。保険は内容にもよるが、今は特に、従業員が受けた暴力行為や悪質なクレーム、他人の行為による店舗や設備の損壊などについてのクレーム対応に要する諸費用を負担してくれる保険が最適で、飲食店に関しては大概が食中毒にも対応してくれるから万全だ。

 いろいろなお客さんが来店する飲食店では、「備えあれば患いなし」の事前対策が必須で、安心して経営ができるようにしなければならない。

<TEXT/中村清志>

【中村清志】
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan