しかし、こういった街の中で輝いているのは、エコらしい緑色のユニフォームを着たボランティアの女性たちかもしれません。マクドナルドに、商業施設にスーパーに行けば必ず笑顔の彼女たちに会えます。

 そして世界中の選手達やチームの方々が緊張の中で束の間の休憩を美しいパリの街で、普通にコーヒーを飲んだり、散策したりお買い物を楽しんでいる姿はとてもリラックスして見え素敵です。

 もちろん、お顔に国旗をペイントした観客や子供たち、お年寄りまでお祭りを盛り上げています。様々なユニフォームを見てどこの国かを当ててみたりも楽しいですし、まるで選手村が街にできたかのようです。

◆スタバではオリジナルのエコバッグを販売

 パリの気温も日中は30度超えする日も増え、暑さ対策には、街中に給水所と顔にミストをかけられるスタンドも設置して誰でも無料で水分補給ができるようになりました。スタンドには「パリジャンになって、水道水を飲みましょう」と書かれています。

「ペットボトルを買うよりパリ人になりきって」と外国人にも呼びかけています。日本と比べてしまうと劣りますが、道は割と綺麗に清掃されています。スーパーやスターバックスなどの店舗では、オリンピックの思い出にと、オリジナルのエコバッグを売り出しています。

 田舎にバカンスに出かけた友人らから送られる素敵な自然の写真に十分対抗できるパリのカラフルな街に、彼らも良い反応が返ってきます。

◆世界中から色々な辛口の評価

 街の全体的な雰囲気としましては全体的に穏やかでありつつも、熱気に満ちておりますし、警備も徹底しています。オリンピックチケットを購入して観に行くもよし、観に行かずとも楽しんでいただける要素が満点です。

 世界中から色々な辛口の評価を受けていることも、分かっていますが、住人として本音を語りますとオリンピックが街にやってきた毎日はとても楽しいです。規制や交通麻痺などがあっても、それでも周りの人々の笑顔と誇り高い表情から大会に対しての前向きな様子を感じます。

 振り返れば2005年の7月、2012年のオリンピック開催をかけてフランスは激戦の末、4票差でロンドンに開催地をもって行かれた過去があります。誰もが美しい街、パリの勝利と予想していた中での喪失感は大きかったに違いありません。

 大胆でオリジナルなパリオリンピックは、現地では特別な大会で他と違う方法で過去の遺産に頼り過ぎた観光都市から変化への挑戦をしたと個人的に思います。

<TEXT/中山ミチル> 

【中山ミチル】
パリ在住フリーランスフォトグラファー。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。