◆「食べるのが遅い」ゆえの気苦労も

芸人になってからは、TikTokをはじめとしたSNSでも人気が上昇。さらには「水曜日のダウンタウン」への出演で知名度も一気に上がった。そんな彼の日常生活では、困ったことも起こる。

「とにかく食べるのが遅いんです。僕が食べ終わるのを待ってもらうわけにはいかないので、先輩とはあまりご飯に行けませんね。もし、誘ってもらって行ったとしても好きなものというより、早く食べ終われそうなものを選んで、しかも小盛りで注文します。それと、飲み会などで女の子から『体重何キロ?』と聞かれることも多いんですけど、正直に話したところで軽すぎて引かれるんですよ。『聞いてきたのに引くんかい』と思いますね(笑)」

服のサイズもSでも大きいため合うものが少なく、レディースやキッズの服を買うことも多いという困りごとも。一方で、ラッキーを得られるチャンスもあった。

「今もアルバイトしているんですが、重い荷物を運ぶ仕事がある時に、周囲の人が『あいつに運ばせるとかわいそう』とか『あいつに運ばせると落としそう』と思うらしくて、進んで運んでくれるんですよ(笑)」

◆勝手に「病気扱いする」コメントに怒り

アルバイト先で荷物を運ぶことさえ心配される肉体だが、実際に非力なのだろうか。

「腕立てや腹筋は1回もできません。それと、アルバイト先が健康診断をする施設なんですが、そこに握力計があって試しに測ってみたら、8kgでした」

握力8kgは、なんと6歳女子の平均値とほぼ同等(※令和4年度政府統計「体力・運動能力調査」)という驚きの結果。そうなるときになるのが健康面だ。

「『何かおかしいのかな』とは常々思うので、健康診断には半年に1回行っています。しかし、痩せすぎていること以外は、いつもいたって健康という結果が出ています。水曜日のダウンタウンに出た後、SNSで『この人、絶対●●って病気だよ』というコメントがたくさんありました。適当なこと言うなよと思いましたね」

将来的には「芸人の仕事だけで一生暮らしていきたい」と語る星河氏は、「まずは、もうすぐ予選がはじまるM-1やキングオブコントで、多くの人の目に止まるような成績を残すところからですね」と息巻いた。

若手芸人にありがちな「メシが食えない」悩みとは無縁である。だからこそ、食費を稼ぐためにバイトする時間を芸事に使えるのは、彼ならではの強みなのかもしれない。

<取材・文/Mr.tsubaking>

【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。