ラネージュはどのようにティームー上の模倣品に対抗したかVol.2:デ・ミニミス規則とMoCRAによる規制強化の行方
ティームーは、2022年末に米国でローンチしたピンドゥオドゥオ(拼多多/Pinduoduo)が所有しているが、Glossyの姉妹パブリケーションである米モダンリテールが報じたメディア攻勢のおかげで、すでにだれもが知る名前となった。たとえば、ティームーは昨年9月から12月まで全米国内の広告費に5億1700万ドル(約795.4億円)以上を投じ、1969年の月面着陸以来もっとも視聴されたことしのスーパーボウルでは、どのブランドよりも多くの広告を掲載した。
ティームーの模倣品対策とデ・ミニミス規則の抜け穴
「ラネージュのブジタット氏はテムを模倣品対策におけるパートナーと呼び、同サイトが出品削除に参加している」と米Glossyに語った。しかし、削除の組織化にはブランドからの膨大なリソースが必要だ。デジタルマーケットプレイスの世界では、ブランドは自らを守らなければならない。ティームーからはこの記事に対するコメントや協力は得られなかった。
レッドポインツのようなIPベンダーは、AIを活用して出品商品を選別し、キーワードや画像から偽物を見つけ出し、マーケットプレイスサイトに削除依頼を出す。それでも商品が消費者の手に渡ってしまうのは、ティームーの低価格流通戦略のためだ。
ティームーは米国を拠点とする配送センターを使用せずに、海外から米国の消費者に直接発送しているため、小包は「デ・ミニミス(非課税基準額)」の抜け穴に落ちる。つまり800ドル(約12万円)未満の小包は免税となり、米国税関の監視も緩くなるため、偽造品や違法品、あるいは強制労働や児童労働のようなさまざまな人権侵害につながる可能性のある製品を持ち込むことができるのだ。
この抜け穴を根絶しようとする委員会の委員長を務めるウィスコンシン州のマイク・ギャラガー下院議員は昨年の声明で、「ティームーとシーインは、我が国の輸入規則におけるデ・ミニミスの抜け穴を利用して帝国を築き、輸入税を逃れ、米国人に販売する何百万もの商品に対する監視を逃れている」と述べている。
現在、この抜け穴を塞ごうとする超党派の取り組みが行われており、それによって偽物が減り、ティームーの価格が上昇する可能性がある。だがタイム誌が2月に報じたように、同法案は現在議会で審議が行き詰まっている。
MoCRAによるFDAの権限強化と化粧品輸入規制の未来
もうひとつ可能性のある解決策は、化粧品規制近代化法(Modernization of Cosmetics Regulatory Act、以下MoCRA)によるFDA(米国食品医薬品局)の権限強化にあるかもしれない。FDAの担当者は米Glossyに対し、「輸入化粧品は国内で製造された化粧品に適用されるのと同じ法律と規制を遵守しなければならない」と話す。
「すべての輸入化粧品は州をまたいだ商取引とみなされる」と述べた。苦労しているのは、それらを追跡して阻止することだ。
食品システムの安全性を高めるためにFDAが取り組んでいる方法のひとつに、輸入警告がある。FDAは、今年MoCRAが完全に展開されていく中で、将来的には化粧品にも適用する可能性があると米Glossyに語った。
たとえば、製品を輸入する際には送り主が輸入申告書に記載した製品コードや、送り主の過去の違反歴などに基づいて審査が行われる。ワシントンD.C.にあるギブソン・ダン&クラッチャー(Gibson Dunn & Crutcher)のパートナー、カトリン・マッケルヴィ弁護士によると、その後、税関・国境警備局がFDA規制の製品を含むパッケージをFDAに照会するという。
偽造品対策の新たなステージ
ところが現在、「FDAは化粧品や医療用製品を米国に輸入する際、事前通知を義務付けていない」と同氏は述べた。「対照的にFDAは法律上、米国に輸入される食品に対して事前通知を義務づけている」という。
「これは食品にすでに適用されているプログラムの拡大であり、化粧品を輸入警告にかけることは、FDA職員がそれらの製品を物理的に検査することなく留置することを可能にする」とマッケルヴィ弁護士は米Glossyに述べた。
消費者に届く前に海外のベンダーからの潜在的に危険な製品にフラグを立てることは、製品がどこで誰によって製造されたかをFDAに伝える製造業者リスト要件の導入と同じくらい簡単なことかもしれない。これはFDAがMoCRAによって獲得したばかりの新しい権限であり、現在も展開中である。
市場規制の改善を求める超党派の圧力の高まり、活況を呈するデジタルセキュリティ業界、そして危険な偽造品を米国から排除する権限を模索するFDAとの狭間で、米国に届く偽造品の未来は不透明である。しかし偽造品と戦っているブランドにしてみれば、毎日が戦いなのである。
[原文:How Laneige is taking on Temu counterfeiters]
LEXY LEBSACK(翻訳:Maya Kishida 編集:坂本凪沙)
