高校時代の安楽智大投手(写真:岡沢克郎/アフロ)

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後輩選手へのパワハラ行為が判明した楽天・安楽智大について、球団が保留者名簿に記載せず自由契約にする決断を下した。安楽のパワハラ疑惑が複数のメディアで報じられ、球団が選手、スタッフなど100人以上からアンケート調査、ヒアリングを行った結果、パワハラ行為がほぼ事実であったと認定した。自宅待機で契約更改が延期となっていた安楽は自由契約となり、チームを退団することが決まった。

今季57試合登板で3勝2敗、10ホールド防御率3.04をマーク。21年から3年連続で50試合以上に登板し、勝負の分かれ目となる修羅場で右腕を振り続けてきた。マウンドでは頼もしい存在だったが、後輩へのパワハラ行為は言語道断だ。ロッカールーム内で後輩選手の下半身を露出させたり、理不尽な理由で罰金の徴収、深夜に嫌がらせの電話を行ったりしたことなどが報じられたが、球団内部の調査でこれらのパワハラ行為が事実であることが確認された。

「今の時代は通用しない」

他球団の関係者は、「安楽の言動や行動はいきすぎですが、一昔前はパワハラまがいの行為が珍しくなかった。具体的に言えば、先輩が食事に誘って断った後輩に電話で説教する、無視するなどは見聞きしていた。上下関係が厳しい体育会系の悪しき習慣だと思います。今の時代は通用しない。先輩がパワハラと思っていない行為でも、後輩が苦痛に感じるケースもありえる。もっと敏感にならないといけない」と厳しい表情を浮かべる。

安楽は楽天を退団することになったが、NPBの他球団が獲得に名乗りを挙げるのは現実的ではないだろう。自らの愚行で失った代償があまりにも大きい。(中町顕吾)