WBC準決勝でも活躍した山田哲人選手。打撃の不調が続いている(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

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昨季までの2年連続リーグ優勝から5位に転落したヤクルト。投手力強化など懸案事項が多いが、気になるのは近年精彩を欠いている山田哲人だ。

国際舞台での勝負強さを買われ、2023年3月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では侍ジャパンで世界一に貢献したが、シーズンに入ると打撃の状態が上がってこない。下半身のコンディション不良で戦列を2度離れるなど、105試合出場で打率.231、14本塁打、40打点、4盗塁。13年以来10年ぶりに規定打席に届かず、不本意な成績に終わった。

「盗塁は重視せずパワーヒッターとして生きる道を模索した方がいい」

前人未到のトリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)を3度達成した天才だが、20年以降は打率.280を超えたシーズンがなく、盗塁数も大幅に減った。全盛期の輝きから考えると物足りない。

スポーツ紙記者は心配顔を浮かべる。

「直球に差し込まれてミスショットが目立ちます。あとはコンディションですよね。上昇気流に乗ったように見えても、体にキレがないので良いパフォーマンスが持続できない。31歳という年齢を考えると、プレースタイルを見つめ直す時期に来ていると思います。確かに山田の一番の武器はスピードですが、走攻守全てを求めると体が追いついてこない。トリプルスリーにこだわりがあると思いますが、盗塁は重視せずパワーヒッターとして生きる道を模索した方がいい。打順も3番より負担の少ない6、7番で打たせた方が力を発揮できるのでは」

「早熟」とも揶揄されるが、このままでは終われない。責任感が強い選手だけに、現状に一番不満を感じていることが想像できる。山田の活躍なくして、V奪回は望めない。(中町顕吾)