この記事をまとめると

■いまならまだ100万円〜200万円以下で狙える国産スポーツカーを紹介

■規制により今後は大排気量エンジンが新車では登場しづらくなると予想されている

■ここ数年がリーズナブルにスポーツカーを楽しめる最後のチャンスかもしれない

高くなりそうなスポーツカーもいまならリーズナブルに狙える!

 中古車価格が上昇している。コロナ禍、半導体不足などなどの理由により思うように新車が生産できていないこともあって納期が伸びている。そのため、目の前にあってすぐに乗り出すことができる中古車のニーズが高まっているのも当然だ。

 しかし、中古車相場が高騰しているのは、新車の供給不足だけではないだろう。もはや新型車としては生産が難しいようなクルマが中古車にはあふれている。

 その最たる例がスポーツカーだ。排ガス規制・騒音規制・安全規制などが厳しくなるなかで、かつてのようなスパルタンなスポーツカーを生産することは難しくなっている。

 とくに騒音規制の影響は大きい。ポイントは走行騒音という点で、排気音だけでなく、タイヤノイズも低減しなくてはいけない。そのため荒いパターンのハイグリップタイヤを履くことが難しい傾向になっていたりするのだ。

 というわけで、さまざまな規制を意識することなくスポーツカーが走りを追求できた時代は戻ってこない。つまり、そうしたマインドで作られたスポーツカーは中古でしか入手できないということなる。そうした背景もあって中古車相場が高騰している。1990年代の国産スポーツカーは、程度次第では四桁万円であることも珍しくなくなってきた。もはや富裕層の乗り物となっている。

 はっきり言って、1980〜90年代の車両は、コンディションがよければどんなモデルであっても価格高騰の傾向にある。大衆車であっても、レアという理由で価格が上がっていくのが昨今の中古車市場の傾向だ。

 そうしたなかで、まだまだ一般庶民でも手の届きそうな国産スポーツカーも残っている。手が届くのは、もう少し年式的には新しいモデル群となる。そうした「いま買っておくべき国産スポーツカー」を紹介しよう。旧車というほど古いわけではないが、それでも10年以上前に誕生した、4つのスポーツカーをチョイスしてみた。

 いの一番におすすめしたいのは、日産フェアレディZだ。Zといえば2022年に大変身を遂げてニューモデルとなったが、その型式はRZ34とカタチの上ではマイナーチェンジ扱いになっていることでも話題を集めた。

 エンジンこそ、新しく3リッターV6ツインターボとなっている新型フェアレディZだが、シャシーについてはマイナーチェンジ前のZ34型フェアレディZと共通で、コクピットまわりの骨格についてもキャリーオーバーなのは座ってみれば感じるところだろう。

 つまり、2008年12月にデビューしたZ34型はチューニング次第では最新スポーツカーとして通用するだけのシャシー性能を持っているということである。

 Z34は官能的な3.7リッターV6自然吸気(NA)エンジンを搭載しているというのも魅力だ。

 環境対応の面からいっても大排気量のNAエンジンが将来的に生まれることは考えづらく、その意味でも貴重なFRスポーツカーとなること間違いなしだ。それでいて、現時点での中古車価格は100万円以下で見つけることができる。150万円くらいの予算感で探せば、気に入る個体を探し当てることができるだろう。

 もちろん、そうした価格帯で見つかるのは2009〜2010年あたりの年式となることが多い。ちなみにZ34の新車販売期間は2021年までとなっているが、最終型でも500万円前後の適性価格で、まだプレミアはついていない。狙うならいまだ。

掘り出し物を見つける最後のチャンスかも?

 パフォーマンスと買いやすい価格帯のバランスで注目したい2台目の国産スポーツカーは、三菱のランサーエボリューションXだ。ご存じのとおり、1992年から始まったランサーエボリューションの歴史を締めた最終モデルである。

 三菱がラリーシーンで鍛え上げた四輪制御システム「S-AWC」を搭載、2リッターターボエンジンと組み合わせたスポーツ4WDマシンの究極形といえる。特徴は、MTのほかにDCTを設定していたことで、中古車相場としてはDCT車のほうが手頃になっている。

 それはDCTがトラブルを起こすと100万円以上の修理コストがかかってしまうという話が広まっているためでもあるが、リーズナブルに修理できる専門ショップも存在している。

 そうしたショップにつてがあれば、150万円前後で見つけることのできるランサーエボリューションXのDCT車はねらい目のスポーツカーといえる。

 続いて注目したいのは、2005年8月にフルモデルチェンジしたマツダの3代目ロードスター、型式でいえば「NC」型といわれるモデルだ。

 オープン2シーターでFRという基本コンセプトは初代・2代目ロードスターと共通しているが、NCロードスターは2リッターのエンジンで、ボディも大きく成長した。現行ロードスターがコンパクトになったこともあって歴代でもっとも大きなボディなのがNC型といえる。

 そんなNC型ロードスターの中古車価格は、初期モノであれば50万円以下で見つけることができるほど。初代ロードスターがコレクターズアイテムとして価格高騰しているのと比べると、年式なりに適切な相場に落ち着いているといえる。

 もちろん、そうした年式で低価格の中古車は、走行距離が10万kmを超える過走行車ではあるが、リフレッシュとチューニングでコンディションを整えていくのが楽しめる人であれば、スポーツドライビングのパートナーとして迎え入れて後悔はないだろう。

 過走行でも受け入れられるのであれば、最強コスパの国産スポーツカーといえるのが、スズキ・スイフトスポーツ(スイスポ)だ。

 スイスポであれば初期から最新まで、どの世代であっても価格以上の満足度が得られるといえるが、ここで注目したいのは2004年11月にフルモデルチェンジしたスイスポ、型式でいうとZC31で知られているモデルだ。

 FFホットハッチの教科書ともいえるスイスポだが、この世代が積んでいるのは1.6リッターのNAエンジン。最高出力こそ125馬力と控えめだが7000rpmまで一気に回っていく様は、いかにも官能的で、このあたり現行のダウンサイジングターボにはない魅力といえる。

 ZC31型スイスポは、良コンディションな個体でも、その多くが100万円以下で流通している。一般論としてタマ数が減ってきたタイミングで、魅力の再評価がされると価格が高騰する傾向にある。スイスポについても、そのタイミングが近づいているように思えるので、手に入れるならば、いまが好機といえそうだ。