マレリホールディングス(株)(TDB企業コード:886019459、資本金1億円、埼玉県さいたま市北区日進町2-1917、代表デイヴィッド・ジョン・スランプ氏ほか1名)は7月7日に、東京地裁へ簡易再生を申請した。

 申請代理人は藤原総一郎弁護士(東京都千代田区丸の内2-6-1、森・濱田松本法律事務所、電話03-5223-7729)ほか。監督委員は片山英二弁護士(東京都中央区八重洲2-8-7、阿部・井窪・片山法律事務所、電話03-3273-2600)。

 当社は、2016年(平成28年)10月に設立。マレリ(株)(TDB企業コード:985682005、資本金4億円、同所、代表藤井司氏、従業員 4700名)などグループ企業を傘下に収める持ち株会社。マレリ(株)は、1938年(昭和13年)8月に設立。旧商号のカルソニックカンセイ(株)は日産自動車(株)(TDB企業コード:985612708)のトップサプライヤーであり、東証1部に上場していた。2017年に米投資ファンドKKRの傘下に入った後、イタリアの自動車部品メーカー、マニエッティ・マレリと統合。2019年以降はマレリグループとしてグローバルな営業活動を進め、当社は持ち株会社としてグループの戦略機能を担いつつ、金融機関の借入窓口となっていた。
2020年12月期は連結ベースで約1兆2665億4000万円を計上。しかし、日産自動車の販売不振や新型コロナ感染拡大の影響もあり、約1442億8200万円の最終赤字となっていた。経営統合に要した借入金負担も重く、今年3月1日にグループ会社5社で事業再生ADR手続きを申請していた。

 その後、減増資や債権カットを骨子とする事業再生計画を作成、スポンサー候補企業に支援を要請する一方、金融機関との交渉を進めていたものの、6月24日開催の債権者会議では再生計画について全26行からの同意を得られなかった。反対債権者によってADR不成立となった際の再生スキームに則り、同日付で当社のみが東京地裁へ民事再生法の適用を申請、再生手続き開始決定を受けていた。こうしたなか、再生計画について債権額ベースで5分の3以上の同意が得られたことから、簡易再生を申請した。
負債額は約1兆1856億2600万円(2020年12月末時点)で、製造業では過去最大の負債額。なお、債権カットの対象は金融機関のみで、一般債権(商取引債権)は全額保護される見通し。

 なお、帝国データバンク(TDB)が2022年2月に調査した『「マレリ」グループ サプライヤー状況調査』によると、マレリグループのサプライヤーは全国に3万7965社に及んだ。地域別では首都圏(東京・埼玉・千葉・埼玉)で1万4261社となり全体の約4割占め、業種別では、「金型・同部分品・付属品製造」や「金属プレス製品製造」、「工業用プラスチック製品製造」など、円安や原材料高の影響が懸念される製造業が最も多く、1万3581社となった。

 マレリグループと取引を続けている一般の企業からは「今後の取引継続について社内で検討中」「民事再生法に至る経緯を考えると慎重にならざるをえない」といった声がある一方で、「(マレリグループからの)支払い面に支障はなく、従前通りの取引を続ける」「再生計画が実行段階に進んでいくなかで判断したい」などの声が聞かれた。