海棲哺乳類リハビリセンターに保護された赤ちゃんアザラシ(画像は『Интересно про тюленей 2021年3月7日付Instagram「#внезапномарт В нашем новом карантиннике все ещё воняет краской.」』のスクリーンショット)

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2017年にスペインで母親とはぐれたイルカの赤ちゃんが海水浴客に囲まれ、触られるなどして命を落としたが、今度はロシアの海岸でアザラシの赤ちゃんが同じ目に遭ってしまった。治療を行った獣医は「群衆から受けたストレスにより死んだ」と話している。『Mirror』などが伝えた。

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ロシアのハサン地区にあるザルビノの海岸で現地時間5日、生後5〜7日と見られるアザラシの赤ちゃんが浜辺に打ち上げられたまま身動きが取れなくなっていた。アザラシは母親とはぐれたようだが、その周りにはアザラシと一緒に写真を撮ったり撫でようとする人が集まりだした。

アザラシは近寄ってくる人に怯えた様子で叫び声をあげて威嚇していた。その数時間後、地元の「海棲哺乳類リハビリセンター」によってアザラシは保護されたが、同センターのスタッフは当時のことをこのように語っている。

「アザラシの母親は水辺からこの赤ちゃんに向かって鳴き、呼び戻そうとしたようです。しかし既に群衆が取り囲んでいる状態でした。母アザラシは数時間ほど近くにいて2度ほど赤ちゃんアザラシの匂いを嗅いだようですが、夕暮れ時になるとこの子を置いて去ってしまったのです。」

保護されたアザラシは弱ったまま同センターに運ばれた。アザラシは“ネリー(Nelly)”と名前が付けられ治療を受けたものの、残念なことにその日の夜にスタッフに見守られながら息絶えてしまった。

同センターに所属する獣医は、死因について「数時間、群衆の中に置かれたストレスが原因だと考えられます。アザラシの子どもはストレスに起因するホルモンなどに極めて脆弱なのです」と明かしている。

同センターがこの赤ちゃんアザラシの動画をFacebookに投稿したところ、次のような声が届いた。

「悲しくて見ていられない。どうして人間はそんなに非情で愚かなことができるの。」
「人間は生き物をおもちゃのように扱うことが非常に多い。本当に愚かなことだ。もし彼らの子どもがこんな風に扱われたらと考えてみたほうがいい。」

今回の件について同センターの獣医は、人々に「野生動物に決して近寄らないでください。そしてすぐに専門機関に連絡を入れるようにしてください」と呼びかけている。

画像は『Интересно про тюленей 2021年3月7日付Instagram「#внезапномарт В нашем новом карантиннике все ещё воняет краской.」』『Реабилитационный центр “Тюлень” 2021年3月7日付Facebook「Новости печальные.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)